9月17日研修科夜間部 (坂本)
ついに自分の番が回ってきてしまった。
死刑台の十三階段を眼前にしたような心境だ。
私は大学を出て以来、ライターの仕事で細々と食ってきた。
にもかかわらず筆無精で、ブログを書くのは特に苦手だ。
一応「プロ」のライターなのでつまんないことを書くわけにはいかない。
でも世界の毎日が「面白いコト」で出来ているわけでもない。
身の回りの世界がハッピーだったらシナリオなんて書かなくていいわけである。
17日、「被告席」に座らされたのは私と恩田さん、足立さんだった。
私は大野先生に、自分のを先にちゃっちゃと済ませて、恩田さん、足立さんのふたりに時間を取ってもらえないかと提起し、事実そうなった。
我ながらヒドいプロットを出したものである。
自分で言うのもなんなのだが、私は今までの経験もあってシナリオは「書ける(面白いかどうかは別)」のだけど、プロットが書けない。恥ずかしいし、ふたりに悪いし、大野先生にも失礼だなと思ったので、軽く触れてもらえればいいやと思ってそうした。で、数少ない時間の中で嵐のような批判に晒されて被告席を後にした。
でも不思議と腹も立たないし、がっかりもしない。
今でも克明に覚えている大野先生の「箸にも棒にもかからない。以上戻ってよし」
との講評はさすがにヘコんだのだけど、大野先生の温かみ(熱湯?)が伝わってきた半年間だった。
自分のことばっかり書いてても面白くないと思うので、足立さん、恩田さんの話をしよう。
ふたりはスゴい。
何がスゴいって、プロットの段階であれだけメッタ斬りにされた物語をちゃんとハコにして、シナリオにして、その上でリライトもちゃんと提出してくる。
しかも治すたびに面白くなる。私にはできない。
で、面白くなってるにも関わらず、大野先生の舌鋒は鋭く、ふたりはそれをメモって真正面から刃を受け止めていた。私にはできない。
今期50期の象徴のようなシチュエーションである。他の皆さんもそうだけど、とんでもない量のシナリオとハコとプロットが提出され、講評され、あるものは迷走し、あるものは進化を遂げた。
他の基礎科や研修昼の方々には申し訳ないんだけど、間違いなく50期研修夜は最高のクラスだ。先生がいい。生徒も個性あふれる人材が集まった。同じメンバーなら延長料金を払ってでもここにいたい。
思えばあっという間に過ぎ去った楽しい半年だった。
そうそう、付け加えなくてはいけないコトがある。
大野先生が全員にタイ焼きを振る舞ってくれた。
恒例行事なのだそうだが、しっぽまであんこが詰まった名店のタイ焼きはとても美味しかった。
大野先生、ありがとうございました。
蛇足でもう1エピソードを付け加える。
私はミリタリーマニアで、BB弾を装填したエアガンをたいてい携帯している。
護身用、というわけではないが、いつの日か「敵」に襲われたときにポケットから取り出してバンバン反撃する様を妄想して悦に至ってるのだ。
で、大野先生にエアガンを見せたら「お前とは付き合わん」みたいなことを言って先生は顔をしかめた。
が、講義の途中で、私は自分に遺産が転がり込んだことを話した。
大野先生は「トモダチになろう。無二の親友になろう」とにっこり笑った。
坂本 (第50期研修科夜間部)
一昨年、47期研修科昼間部で、下飯坂菊馬さん、
林誠人さん、長津晴子さんにシナリオを教わる。
今回、2回目の研修科受講。