2009.11.17

11月17日創作論講義(たま)

本日の創作論講義 「私のシナリオ作法」
[講師] 秦建日子さん(シナリオ作家・演出家・小説家・劇作家)

 

 

ドラマに映画に舞台に小説に・・・
いずれも現役のトップランナーとして大活躍中のマルチな才能の人、秦先生。

 

私は昼の部に出席しましたが、講義には、研修科・基礎科問わず、多くの方が参加されていました。

 

(実は、この講義を楽しみにしていた私は、事前に先生のブログをチェック!
すると数日間発熱でダウンしてらしたようなので、無事回復なさり、そして無事講義が行われて嬉しかったのです♪)

 

まずは、ご自身のことについて、脚本家になった経緯、創作の上での気をつけていることなどをご挨拶がわりに、お話してくださいました。
*脱サラして、つかこうへいさんに師事したこと、
*きれい過ぎる人間や、良い人には興味がなく、駄目な人が、少し良くなっていくことにドラマ性を感じること
*セオリー通りの展開をかならず壊したくなること
*先生ご自身では、映画「恋愛小説家」がとても好きな作品。
・・・といったお話が印象に残りました。

 

その後は、何かテーマを持って語る・・・というのではなく、
「何でもお答えしようという気持ちでやってきました!なので、時間の許す限り何でも聞いてください」
と実にフランクなお言葉、そして雰囲気。

 

最初は遠慮がちだった受講生でしたが、先生があまりにもストレートかつ正直に答えてくださるので、受講生側も緊張の糸が若干ほぐれたのか徐々に突っ込んだ質問がでるようになりました(笑)。

 

心の肥やしになるお話がたくさん飛び出したのですが、個人的に、なるほどーと思ったことをここに明記させていただくと・・・。

 

*コンペやコンクールのシナリオと、実現場の仕事としてのシナリオは、全く違う。コンペは少しくらい冒険心を持った刺激的な内容で、どうせやるならトップかビリを狙えるくらいのものでもいいのでは?。しかし仕事となると、発注者がいるし、どんな枠でターゲットはどんな人で?、何が求められているのか?をまず考える必要がある。その中で自分らしさを出していかなくてはいけない。

 

*「映画」と「ドラマ」で同じ原案作品をやる場合は、構成を変える必要がある。映画はよっぽど短気でなければ最後まで観客がみてくれるので、冒頭がスローで、ラストに盛り上がりをもってきて、余韻を残すつくりにすることが多い。しかしながら、ドラマは最初の10分が大事。これがダルければチャンネルを変えられるし、できる作家はCMの入りタイミングも計算している。

 

・・・という、現場のリアルなお話でした。

 

そのほか、先生の作品には、専門的知識(医療系、法廷系)が必要なものが多いのですが、そういった部分をどうしているのかな??と伺ったところ、ドラマの展開要素以外の専門用語は現場の制作スタッフや番組担当スペシャリストに、お任せすることにしているそうです。

 

そして、今からスタートラインに立つ新人さんたちへの言葉として「やれるかわかりませんが、頑張ります」とか「勉強させていただきます」という、良かれと思って言う謙虚さをもった言葉は、現場ではチャンスを失くす事になるかも!とのこと。
そんな不安がるような作家に、相手もオーダーしていいかわからなくなる、チャンスには、必死にくらいついて、少しでもものにするようにしたほうが良いよー、とありがたい助言もありました。

 

うむむむむ。
打たれてもへこたれない強さ、何にでもくらいつくくらいの貪欲さ、そして空気を読む能力。
さらには、人間観察力。・・・が必要なのですなぁ。

 

まぁ、これって一般の社会人としても、持っていないといけない要素だとは思いますが、今はなんとなく、そつなく過ごすことが多い時代なので、そういう強い気持ちが希薄になっているのかもしれませんね。

 

先生は、来期1月スタートの連続ドラマを手がけるようで、現在はその作業真っ只中だそうです。
お忙しい中、本当にたくさんのお話、ありがとうございました。

 

たま(第54期基礎科昼間部)
テレビ業界歴は長いのですが、シナリオは未知の世界。
いつか必ず、誰かの心に焼きつくような作品を残したいとどでかい夢を持っています。