シナリオ講座・講義録 創作論講義出張編(1)
加藤正人先生編
面白くならないプロットなどこの世に存在しない!
文・ 井田天 蔵乃介
その日、私、井田天が加藤正人先生の講義に出席したのは
始まって30分は経った頃だったと思います。
闇に包まれた教室。
その中にぼうっと浮かび上がる白黒のスクリーン。
そう、それは加藤先生が講座生の為に映画を持参され、
それを上映しているところでした。
ホテルの一室と思われる場所で
会話をしている、数人の男女。
話の内容は株がどうとか経営権がどうとか。
井田天、難しすぎて理解ができませぬ(´・ω・`)
しかもそれが長回しのカットでえんえんと続きます。
あ、でも途中で夫婦の子供と思われる男の子が2人、
公園に遊びに行くと言って出て行きました。
さすがにここは井田天でもわかりました(`・ω・´)
そして、再び会話の内容は経営どーたら株どーたらの難しい話。
正直、役者さんが頑張ってるのはわかるのですが、
井田天、少々飽き・・・、場面転換が欲しひと思ったり。
そんな井田天の気持ちを察したのか、
スクリーンに突如、黒電話のベルが鳴り響きます!
男が取ると何事か驚いた様子。
すわ、事件ですか!?
そうです、事件です。
何とさっき出て行った子供をさらったとの事。
こいつは大変だ!
どうやら、子供を返してほしくば、
経営権やら何やらが危うい流れになる様子。
ピーンと緊張感が走ります。
さあ、どうするどうなる!?
そう思ったところで、ただいま。の子供の声。
・・・・・・アレ?
何とさっき電話をかけてきた犯人は間違って、
違う子供をさらったらしいです。
ナ、ナンダッテー!
と、驚いたところで映画の上映は終了。
加藤正人先生の講義が再開しました。
なにやら、映画はプロットの構成について
話す為に上映していたようです。
同じ筋書きでも切り口、
見せ方を工夫することによって、
シナリオは面白くなる。
加藤先生はこうおっしゃいました。
今、上映した場面で言うなら、プロット的には
1.上映したホテルで会話している大人たちの場面。
2.ホテルを出て公園で遊んでいる子供の場面。
3.子供をさらうために行動を開始した犯人達の場面。
上記、三つの場面となるそうです。
加藤先生曰く、ここでは三つの流れのプロットを
1の場面をクローズアップし、あえて2と3を省略する事で
誘拐事件発生と、犯人が誘拐するべき子供を
間違えたというインパクトを
視聴者に強く感じさせているという話でした。
*あくまで井田天の印象です。もし違ってたらすみません(汗
確かに途中までは井田天、正直、退屈でしたが
誘拐事件発生から子供帰宅、誘拐取り違え発覚までは
ものすごい引き込まれました。
そして、確かによくよく考えると
1、2、3を順々に描くと説明的になり、
特に誘拐取り違えの流れがわかってしまうので、
比較すると上映された流れで正解だったのだと
井田天は感じました。
プロットは切り口によって、
色んな風に見せる事ができる。
それは本当に人それぞれ様々。
皆さんにはそういった事を工夫をして欲しい。
そして、それをするためには
個々の人物をしっかり描く事が重要になる。
そして、シナリオで重要なのはまず結果を描く事。
理由を説明するのは、後回しにして構わない。
そのような事をおっしゃっていました。
そういえばドラマのOPはまず何かしらの事件が発生し、
それから理由というか、それまでの経緯が描かれるという
構成をよく見る気がします。
キャラクター&アクション。
それが映画の面白さなのだと、加藤先生はおっしゃいました。
私、井田天、まだまだシナリオを学び始めたばかりの
ひよっ子ですが、しっかりと今回の授業を真摯に受け止め、
がんばってまいりたいと思います!