シナリオ講座講義録・第一回(基礎科夜間部)
第一回
全てのシナリオの基本はプロットである!
文・井田天 蔵乃介
まずシナリオの全ての基本はプロットからです。
そして、まずプロットを書くためには、
そのシナリオ、書きたい話、テーマが何なのかを
プロデューサーに簡潔に説明でき、
かつ理解させなければいけません。
――それが講義第一回目の柏原先生の第一声でした。
事務局の方からは基礎科を申し込む際、
今回(56期基礎科)の講師を担当される柏原寛司先生と大野武雄先生は大変、
面倒身が良く、講義も実践形式のスパルタで井田天さんはプロになるために
この講座に来られたのであれば、絶対に後悔しないでしょう。
と、言われていたので、のっけからいきなりプロットの話で、
思わず「いきなりきたっ!?」と身構えてしまいました。
*事務局のコメントはうろおぼえです。
また他の講師の方ももちろん皆さん、実績のある素晴らしい方々です。
ちなみにプロットという何かという話ですが、
シナリオを書く前の設計図のようなもの・・・です。
・・・ですよね?
実際の執筆には プロット → ハコ → シナリオ の手順を踏むらしいとか。
マンガで言うなら、コマ割 → 下書き → ペン入れ という事なのでしょうか。
教材として過去に柏原先生が執筆された脚本プロットを頂いたのですが、
非常に丁寧に書かれてあり、あとは台詞を書き足せばそれでいいんじゃないか、
と思えるほど中身が濃いものでした。
・・・と、ここで講義の内容に話を戻します。
主な講義としてはプロット提出をメインとした半年間、
実際のプロデューサーとのやりとりを想定して、
プロットを直しつつ、最終的に60分の一本のシナリオを仕上げるという事でした。
講師の方によっては、シナリオの書式から創作論まで逐一、
丁寧に手取り足取り教える方もいらっしゃるらしいとの事ですが、
柏原先生の方針としては、
とにかく書いて覚えろ。
・・・実際にはこう言ってないような気がしないでもないですが、
少なくとも僕にはこう聞こえました(笑)
そして、続いて柏原先生の口から出てきた言葉は非常に衝撃的なものでした。
「では、今から各自、この半年間で書きたいと思っているシナリオを
三行あらすじにして、それぞれ発表してください」
・・・って、いやいやいやいや!
そいつは無理無理無理、カタツムリってもんですぜ。
ナイスティーチャー!
いくら実践形式とはいえ、いくらなんでも実践すぎるんじゃないですか!?
何ですか、そのボクシングジム入門当日に、
じゃあスパーリングやろうか。みたいなノリは!
と、このように私、井田天は激しく動揺したのですが、
前の席に座っているみなさんは実体験の話、都市伝説モチーフの話、
ヒーローではなく、ヒーローの身近にいる何の変哲もない親友の話など、
次から次へとポンポンポンポン発表していく皆さん。
そこで井田天、負けじと必死に考えました。
一人、また一人と三行あらすじを何の労なく発表していく中、
ああ、前の席に座らなくてよかったなぁ。。。と。
って違うだろ!
で、考えた結果、発表したものを再現したのがコチラ。
井田天 「僕は女子高生、もしくは中学生、
反抗期を迎えたその辺りの話を書きたいと思っています。
その・・・思春期というか、その主人公は親とか家族に
あまり相手にされていなくて、非行に走りかけているんです。
それでとあるきっかけで尊敬できる人に出会えて、
立ち直りかけるんですけど、
そこでまたその尊敬できる人がいなくなってしまう。
で、そうなった時、またその主人公は非行に走りたいけど、
尊敬できる人がいてくれた手前、走れない。
で、それをかつての幼馴染にうっぷんをぶちまけるんです。
別に主人公は理解してほしかったわけじゃないけど、
幼馴染はそんな主人公に理解を示すんです。
で、少し、主人公は救われる。そんな話です。
って長いよ!
全然三行じゃないよ!
やっぱり、今、こうして振り返ってみるとかなりアレですね・・・。
で、上記あらすじに対する柏原先生からの返答は下記だったように思います。
・漠然としてわかりにくい。
・もし主人公の境遇を不幸なところから始めるのであれば、
終わりは「少し救われる」ではなく
ハッキリと明確に救われる描写であった方がいい。
・60分ものにはまだ短い。
・・・ちなみに発表した時、
これなら一時間は埋まるだろうと思っていたので、
60分シナリオにはまだ尺が足りない。
と言われたのはショックでした。。。
そして、現在上記あらすじの
プロット三稿目を書いているのですが、
柏原先生のおっしゃる通り、
上の通りだと本当にまだ短くて、
先生の眼力に驚きつつ、
自分の無力さというか、
あさはかさにあきれ果てている最中です、はい。
次回に続く