10月30日基礎科夜間部(竹内)
こんにちは!
10月からシナリオ講座基礎科夜間部を受講中の竹内と申します。
第52期基礎科夜間部の講師は、なんと大監督鈴木則文先生と、「江戸川乱歩全集恐怖奇形人間」の掛札昌裕先生です。毎週木曜日に会えるんです。シネフィルの方は卒倒してしまうのではないでしょうか。
授業が始まって日も浅いですから、今まで何を学んだか、ざっと紹介いたします。
10月7日(火)が開講式でして、何をしたかといいますと、自己紹介です。
生徒は全員で30人弱。みんなの前に立ちまして、「竹内と申します、よろしくお願いします」なんて感じで、ボソッと軽い挨拶をした訳ですが、いきなり鈴木先生から「みんなどうせ後で自分の書いた恥ずかしい文章を披露しなくちゃいけないんだから、今のうち自分の人となりをしっかり話せよ」と檄が飛びました。
これは覚悟を決めないといかんってな訳で、一人ひとり声を張ってフルネーム、略歴、意気込みなどを話しました。しかし聞いてみると、これがまた多彩な顔ぶれでして、夜間部ということもあるのでしょうが、年齢も、仕事も、背景も、てんでバラバラ、さながら夜間学校のようです。って夜間学校みたいなものですね。
実は講座を受ける前に、一人ひとり両先生との面接があったのです。
月刊シナリオ10月号で鈴木先生がその感想を述べられているのですが「なかなか面白かったよ」との事。みなさん何を話したのか知りませんが、たしかに色んな人がおられます。自己紹介の後、シナリオとは何か、シナリオと文学の違い、時間芸術であること、そしてプロットについてお話がありました。
そういえば、私は参加できなかったのですが、この日の講義後第一回目の飲み会があったそうです。もちろん鈴木先生、掛札先生も参加されたそうです。うーん惜しい事をしました。出鼻から躓いた感じです。
10月9日(木)いよいよシナリオ講座が始まりました。この日の担当は掛札先生です。シャルル・スパーク脚本「嘆きのテレーズ」のシーン割りのプリントが配られまして、映画を50分ほど鑑賞。途中で止めて「じゃあ今見たところまでのプロットを書いて」と、いきなり実践です。みんなひーこら書き始めたのですが、すぐ時間が来てしまいました。生徒全員のプロットを先生が添削して下さるようなのですが、どんなことになるのやら。
講義後初めて飲み会に参加したのですが、掛札先生、何でも知ってるんです。
現在上映中の映画はもちろん、連ドラまで目を通しているそうです。あとから人づてに聞いたのですが、生徒に話を合わせるために、ちゃんとテレビドラマも見るようにしているのだとか。これで生徒が怠けていればシナリオの神様が振り向くわけがありません・・・。
10月16日(木)鈴木先生の登場です。「いやー、今日京都映画祭から帰ってきたんだけどダメだな、蓮實重彦じゃ人集まんないよ、富司純子なんて満員だよ」
のっけから仰ることが違います。「僕はマキノ雅弘の弟子だから」この日の課題は先週前もって渡された黒澤明の「姿三四郎」のプロットを「起承転結」に分けることでした。しかし黒澤明の「姿三四郎」のプロットって・・・みなさん知ってます?これがすごい面白いんですよ。「映画之友」1943年2月号に発表されたものなのですが、これを読んでから映画を見ると検閲が憎らしいのなんのって。
講義中、生徒全員が銘々の「起承転結」を発表したのですが、みんなバラバラ。
大丈夫なんでしょうか。「うん正解は無いんだよ、読んだ人が何に注目して読んだかで、起承転結も変わるんだ」と先生。その後「三幕構成」「序破急」「天地人」などについて解説がありました。「聞きたい事があったらすぐ質問するように」その声に促され、生徒がおずおず先生に質問をぶつけます。とても丁寧に答えてくださるので、なんだか恐縮してしまいます。鈴木先生はいつも「起」に最も力を入れていたそうです。
授業後、鈴木先生も参加しての飲み会がありました。私は途中で退席したのですが、最後はとても話も弾んだと聞きました。退席前、先生から「遠慮するんじゃない」とありがたいお言葉を頂きました。
10月23日(木)掛札先生の講義です。9日に書いたプロットが添削されて返ってきました。とともに優秀生徒3人のプロットが印刷されて配られました。
う、上手い。プロットってこうやって書くのか。でも誰?この人?掛札先生からプロットの書き方について解説があり、「嘆きのテレーズ」の続きの鑑賞、その後またプロット書きです。何故?と思わせること、心理描写を入れることがプロット書きのコツだそうです。さて今回はどうなることやら。
講義後は飲み会です。ここでちょっと面白いやりとりがありました。とても上手いプロットを書かれた方が、この日の飲み会に参加されていました。
思わず「上手いですねぇ~」と、私。「いやあれは掛札先生が直して・・・」と、上手い方。すかさず「いや読みやすく改行したくらいだよ」と、掛札先生。
「いやなんか言い回しが変わって・・・」と、上手い方。なんだかおかしなやりとりが始まってしまいました。でも本当に上手かったので、とても参考になりました。
なんでもマネすることから始めるわけです。
10月30日(木)鈴木先生の講義です。今日はキャラクターについての講義のはずなのですが、先生が取り出したのは小津安二郎の「一人息子」。全編鑑賞です。
「うん、これはやっぱり、名作なんだな」と、鈴木先生。キャラクターについてということなので、そこを意識しながらの鑑賞となりました。しかしこの映画、非常に暗い。しかもバッドエンド。ご覧になった方はご存知かと思いますが、母親が紡績工場で働いているのですが、ラスト、紡績工場の門の閂のショットが映って終わるのです。母は紡績工場の外に出られないのです。
閉じ込められてるんです。ひ、ひどい。しかしここで、はるばる上京し息子を訪ねてきた母親の気持ちが解る訳です。すごく痛々しいんです。
だから一層母親が息子を褒めた言葉が胸に突き刺さります。貧乏だけど、人を助けた。それだけなのですが、そのヒューマニズムが昇華されて、今でも泣ける歴史を超えた映画になっています。誰ひとり悪い人が出てこない。対決もない。
なのにちゃんとドラマになっている。それはキャラクターがちゃんと描けているからだ。と、鈴木先生。キャラクターと言われて、すぐトラック野郎を想像してしまった自分が恥ずかしいです。とても深い内容の講義でした。最後に宿題が出されました。太宰治の「葉桜と魔笛」を脚色してプロットを書いて提出すること。どんな作品が出来上がってくるのか楽しみです。
竹内(第52期基礎科夜間部)
10年前にシナリオ講座に来たかった、
30オーバーの映画好き。