2008.9.2

9月2日基礎科創作論講義 (森永)

本日の創作論講義 「リライトに役立つ構造分析術」
講師/三宅隆太さん(シナリオ作家)

 

 

二年前、私はシナリオ講座を受講していた。
当時は講義が終わると決まって居酒屋『やるき茶屋』へ直行し、
シナリオの話に限らず仲間達と酒を交わしながら議論したものだ。
終電を逃しタクシーで帰宅することもあれば、
始発が動き出すまでウダウダと過ごしたり、
そのまま夜まで仲間と一緒にいた日もあれば、
さぼった日に限ってたまにしか来ないMさんという綺麗な女性の受講生が
飲み会にきているという連絡を受け、
会いたいが為に自宅から深夜タクシーを走らせ赤坂へ向かったこともあった。

 

そんな回想はともかくとして、久しぶりに赤坂の3階である。
私は8月末日でバイトを辞めた。
仕事してない、シナリオも停滞している、天気悪い、ニート臭、9月やっべぇ~
という状況でひねり出した答え、『…赤坂…行こう』

 

講義が始まり、久松女史に紹介してもらうまで、
講師が誰なのかさえわからないまま来たというこの藁をもすがる感。

 

というわけでこの日の講師は三宅隆太先生だ。
結論から言うと藁どころではない。太いロープなお方だった。

 

講義の前半は2行ログラインというものについてで、
大抵の映画(特にアメリカの映画)は70字以内であらすじが書けるという。
例を挙げると、

 

『ダイハード』 (アクション)
「完全武装のテロリスト集団が多数の人質と共に企業ビルを占拠した。
たまたま居合わせた非番の中年警官は、事件解決に向け、たった一人で戦いを挑む」

 

話の舞台、主人公の立場、動機、行動、ゴールが見えてこないだろうか?
好きな映画を挙げ、この2行ログラインを書くということになったのだが、
これがなかなか難しい。
話の本筋が明快で、要約出来る作品が好ましいということだろうか?
自分が書こうとしている作品に当てはめてみると、やはり70字以内は難しい。

 

後半は構成について
私は型というものがどうも苦手だ。
起承転結や序破急と聞くと奇消・血や除八九でありたいと思ってしまう。
(当て字だったら何でもいいのだが)
映画で物語を表現する場合、流れというものはある程度決まっているのだと氏は言う。
美しいとされるシナリオの構成の型を名作映画に当てはめ時間軸に沿って理論的な解説。
バック・トゥ・ザ・フューチャー、なんとも美しい構成だったのね。

 

もう反逆精神だけで書くスタイルはやめにしよう。
クールで美しくありたい。
生活も変わるかな……

 

もはや日に日に増すニート臭なんて気にしている場合ではない。
挫けた時には赤坂へ行けばいいじゃないか。
三宅隆太先生のように太いロープを岸から投げてくださる方に出会えるかも知れない。

 

もう、迷わない。

 

森永(第49期研修科夜間部修了)
2006年、47期基礎科・研修科に在籍し、
塩田千種氏、森岡利行氏、小野竜之助氏にシナリオを学ぶ。
2007年には「伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞」審査員奨励賞を受賞。