2009年4月27日(月曜日)
ども、田中です。
ってこの日記読む人で俺の事知ってる人どれくらいいるんですかね。
プロフィールは一番上にあります。
そんな駆け出しライターが一週間この日記を書く事になりました。
「私のような若造は書く資格ありませんよ」
って、俺も言いたかったですよ。
でもシナリオ作家協会の会長で、同じ早稲田大学映画研究会の大先輩でもある加藤正人さんから直接やって下さいって言われたら断れる訳無いじゃないですか。
という事で一週間お付き合い下さい。
作協青年部(この間白鳥さんにこう言われた)の皆さん、今後は「私なんて実績も無いし」って逃げ口上は通用しません。
だって俺が書いているんですから。
今はこの間出した企画書の返事待ち状態で、掛け持ちするほど売れていません。
あ、一つだけ宣伝。
先日発売され秋葉原や一部ネットで話題になっている「いっしょにとれーにんぐ」というDVDの冒頭30秒程の実写パートの撮影を担当しています。
現場スタッフはPと私だけですけど。
アマゾンのレビューが笑えます。
「安いから買っちまうんだチクショウ」
「チクショウ」って台詞にいろんな感情がありますね。
このアニメの監督、私が小学生時代夢中になって観ていた「戦闘メカザブングル」の演出やってた人なんですよ。
こんな形で一緒に仕事するとは思わなかった。
会った事無いけど。
売れればこの会社で次の仕事ができるので、どうぞ宜しく。
枕はこの辺で日記へ行きます。
「ちい散歩」を観ながらアジ丼、トマトジュース、コーヒーの朝飯。
アジ丼と言っても残りの干物と梅干しをほぐしたものをご飯の上に乗せて小口切りのネギとゴマを振ったもの。
梅干しは塩がジャリジャリするやつが美味い。
去年地井さん主演と言う発注で企画書の仕事をして以来この番組を観るのが習慣になっている。
結局プロット三本程書いたら「後はベテランライターに任せるから」と言われて終わったけど。
この番組ではすっかりいい人キャラだけど、私にとって地井武男と言えば
「濡れた荒野を走れ」の悪徳警官であり
「黄金の犬」の極悪犯人であり
「電撃!ストラダ5」なのよね。
今の地井さんで「ストラダ5」やってくれ。
ラピュタ阿佐ヶ谷の中平康監督特集へ行き「夏の嵐」鑑賞。
思わせぶりな台詞と人物を突き放した演出で格調高く見えるけど、設定は昼ドラみたい。
白い水着の北原三枝が眩しい。
シナリオ会館へ行きシナリオ倶楽部のお手伝い。
ゲストは葉山陽一郎さんで上映作品は「THE
OSHIMA
GANG」
公開前でネタバレになる事は言えません。普通の劇映画では無いしその手法に好き嫌いはあっても、他には無い個性を持った作品。
興味のある方は8月頃公開予定なので自分の眼で確かめて下さい。
懇親会、やるき茶屋の後帰宅。
これが500円でビールも飲めるんだからお徳です。
シナリオを志す人なら誰でも参加可能です。
次回は5月18日、ゲストは私には姉弟子に当たります三宅直子先生です。
上映作品は「新造人間キャシャーン」「少年アシベ」「さわやか3組」他一本の予定。
任侠映画で言えばうちの師匠が組長の嵐寛寿郎だとしたら藤純子にあたる人です。
て事は伴さんが鶴田浩二ですか。
だったら高倉健は誰だ。
わかりにくいですか。すみません。
なにしろ酔ってますんで。
お時間がありましたらどうぞいらして下さい。
いいんですかこんな日記で。
先週、先々週のちゃんとしたエッセイの雰囲気を思い切り台無しにいている気が。
まあ格好つけても仕方無いし、格好つけたら必ず失敗する人生だったし、こんな感じの日記が続きます。
すみません。
2009年4月28日(火曜日)
昨日同様、「ちい散歩」を観ながら朝飯。
鍋焼きうどん、トマトジュース、コーヒー。
ゆでうどんは三玉入りが百円ショップで買える。インスタントラーメンより安い。
土鍋に適当に材料全部入れて火にかけておけば放っておいてもコーヒーを入れている間に出来上がるから楽。
そう言えば去年フィルムセンターに映画を観に行った時、後ろにいたじいさんが隣のばあさんに「ちい散歩」の靴を買ってあげるから履きなさいと言ってたっけ。
凄いな地井武男。
シネマヴェーラ渋谷の東宝アクション特集で「恐怖の弾痕」鑑賞。
犯罪ものかと思ったら途中で「姿三四郎」になって唖然。
続けて「非情都市」鑑賞。
井手雅人脚本、鈴木英夫監督はさすが手堅い。
この映画の司葉子は妙にエロい。
新宿へ行きヨドバシカメラで明日用の買い物をし、南口のたつ屋で昼飯。
昔、歌舞伎座で大道具をやっていた時、弁当の出ない土日はいつも歌舞伎座裏のたつ屋で食べていたので、店の近くに来るとつい入ってしまうのです。
今は歌舞伎座裏の店も無くたつ屋は新宿と神田にあるのみ。
焼き豆腐入の牛丼が280円。
安い!
ペラッペラのカツ丼が350円。
安い!
・・・どっかのビストロで、とか言ってみたいなあ。
で、打ち合わせ。
明日、短編映画をビデオで撮影する事になっています。
姉弟子の小学二年の息子が「僕もヒーローになりたい、作って」と言い出し、それを師匠が面白がって「一人一本作れ」となったのです。
条件は書いた人が演出、撮影は一日で10分以内。
私ともう一人現場経験がありビデオカメラが扱える人間がいるので、その二人でそれぞれ撮影、編集を半分ずつ担当。
脚本は書くけど撮った事無い、という人がほとんどで、コンテを見ると結構無理がある。
まあ自主なのでやりたいようにやった方がいい。
撮りきれなくても繋がらなくても自分で思い知った方がいいし。
ただ出演者が撮影に過大な期待を持って失望されるのが怖い。
大学時代の自主映画でも女の子が「女優」って事で期待して、いざ撮影に入るとその面倒さと地味さに失望して来なくなる事が毎度の事でしたから。
子供は女の子以上に飽きっぽいし、どうなる事やら。
ま、明日の一本でも撮れれば意味はあるでしょ。
開けてビックリ玉手箱ってね。
2009年4月29日(水曜日)
目玉焼き丼とコーヒーとトマトジュースの朝飯。
パンより早く目玉焼きは焼き上がるので時間が無い時はこれが手っ取り早いのです。
「ちい散歩」が始まるずっと前に家を出る。
本日は都内某所の公園で自主映画の撮影。
仲間が出演、監督で私は撮影を担当。
と言っても撮影助手も助監督もいない少人数。
同じ公園の傍らでは別班が姉弟子の息子を主役に撮影しています。
まるで昔の東映特撮の撮影の砕石場みたい。
「すみませーん、そこのキカイダー写り込みますので掃けて下さい」ってやってたらしい。
我々は「私も出たい」と言った姉弟子の友人の娘が主役。
小学一年生だけど、女の子はこの年でもう女優。
集中力は無いしすぐ遊ぶけど、レフ版当てたりしてきれいに撮ろうとするとそれをわかって言う事聞くようになるんです。
「こうするとかわいく写るよ」って言ったら素直に聞くし。
言い出しっぺの姉弟子の息子はなかなか難しいみたい。
すぐ遊びたがって昼飯前に「もう止め!」って叫んでいました。
出来るだけ監督のコンテ通り撮ろうと思っていたものの、やたら割ってある。
あるカットがこの映画全体の象徴になると思い「このカットで芝居が続く所までとりあえず撮らせて」と頼んで撮ってみたら上手くいったので以後そのペースになりかなり撮影が楽になり無事撮り終えました。
一日100カットなんて監督が慣れていないと無理ですって。
スムーズに進むとロケ弁のほっともっと亭ののり弁も美味い。
でも少し口出しし過ぎたかもしれないので少し反省。
とりあえずこれで一本は上がりました。
たわいない話かもしれないけど、女の子はそれなりにきれいに撮れたし、母親も写りを見て喜んでいたからいいでしょう。
撮影終了後に餃子でビール。
やはり脱稿とクランクアップは飲まないと終わりません。
でも次は我々が男の子を撮らないといけないので、今日と立場が逆になりそうな。
しかし自主映画でも女の子ものをやらされるとは。
私は仕事として頼まれて書いた脚本は全部女の子が主役。
習作時代は男主役のものしか書いた事無かったのに。
男が主役の話は全部途中で流れました。
だから去年の地井武男の企画はやりたかったのです。
って何で毎日チイチイの話をするんだ俺。
私の大学時代は8mmフィルム最後の頃だと思いますが、その頃と比べると自主映画も変わりました。
8mmフィルムだと3分撮影するとフィルム代と現像代で合計2000円位かかったので、今日回した位撮影すると2万円はかかります。
今日はテープ代300円だけ。
そんな8mmフィルムで腕を斬り落としたり血をポンプで噴出させたりして梶原一騎的な時代劇を撮ったり、合宿で船に乗るからって脚本無しの勢いだけで海賊もの撮ったりとか(脚本家としてあるまじき態度だ)バカな事をしていました。
他の奴は孤独に悩む若者とか女の子の感情の揺れを長回しで撮ったり。上映会で女の子に「私この映画すごくわかります」と言われてつき合っちゃったりする奴もいました。
でも俺の所には「燃えます」「かっこいいっす」なんて後輩の男ばかり。
その時代劇もあるPにボロクソに言われました。
それがきっかけで脚本を勉強しようと思ったのですが、これはまた別の話。
今日一緒にいた仲間にも自主映画に出てもらった子と結婚した人がいる。
そんな人もいるのに。
女の子に出てもらっても斬られて噴出した血を顔にかけたりしてたら駄目なんでしょうね。
誰かに惚れるたびにその子主役で映画撮って、完成と同時に告白して断られるのを毎回繰り返す奴もいました。
疲れたので寝ます。
ちなみに合宿で撮った海賊映画は早稲田映画祭というイベントで「こんなくだらない映画初めて観た」という評価をもらいました。
2009年4月30日(木曜日)
これを書く前にいつも前日の日記を読み直して毎回落ち込む田中です。
シナリオ講座の生徒のブログとリンクしてあるのが恐ろしい。
向こうの方が役に立つ事書いているような。
昨日の「レフ版」て誤字は何だよ。
誤字脱字はコンクールで厳禁。
私がコンクール通らなかったのも当然です。
月曜日の日記の後は「鶴田浩二です」ってメッセージが来たし。
誰から来たかはわかりますね。
どんなメッセージかはmixiを。
でも、褒め言葉ですからねあれは。
昨日の撮影の疲れか甘い物が食べたくなりチョコトースト、目玉焼き、コーヒー、トマトジュースの朝飯。
食パンに板チョコのかけらを乗せトーストして溶けたチョコを広げるチョコトーストは下手な菓子パンより美味くて安い。
今日はテレビは見ずに食べます。
だって木曜の「ちい散歩」は「生稲が行く」なんだもの。
昨日の撮影機材の片付けと編集の準備。
取り込む前のパソコンのデータの整理。
急ぐ必要も無いので取り込みは後日にして夕方からシネマヴェーラ渋谷の東宝アクション特集へ。
「ザ・ゴキブリ」鑑賞。
いかにも70年代アクションで「西部警察」の渡哲也と「太陽にほえろ」の沖雅也が同時に観られてお徳。
渡哲也が女を撃つ時の「メスゴキブリ!」って台詞が素敵。
「野獣都市」鑑賞。
黒沢年男と三国連太郎のラブストーリー。
石松愛弘脚本、福田純監督で面白くない訳が無い。
まるで大井武蔵野館にいるような素晴らしい二本立て。
帰宅し夕飯は福岡の本家から大量に高菜漬けを貰っているので高菜炒飯とキャベツのスープ。
肉が無いので鰹節を入れて醤油で味付け。
この時はすこし焦げ気味が美味い。
まだまだ高菜は冷凍庫に残っています。
美味いんだけど塩分が気になるお年頃。
浪人時代、私が初めて行った名画座が大井武蔵野館。
その最初に観たのが「子連れ狼 三途の川の乳母車」「龍の忍者」「春秋一刀流」の三本立て。
はまりました。
いつしか丸根賛太郎、石井輝男、鈴木清順監督などクセのある映画の特集に通うようになり、その後ユーロスペースの「三隅研次白刃の美学」という特集で大映時代劇を追いかけるように。
私が日本で一番尊敬する監督は三隅監督です。
そして色々な名画座通いが始まります。
旧文芸座は文芸座、文芸座2、ル・ピリエの三つで何でもござれな名画座で、生の勝新太郎を始めて見たのもここ。
大島渚や増村保造オールナイトは大学の映研仲間と行きました。
数年前の新文芸座「スーパージャイアンツオールナイト」には誘っても誰も来なかったけど。
だから一人で行きましたよ。一人で宇津井健のウツイズムを堪能しました。
文芸映画と推理ものなら銀座並木座。
サイレント映画や川島雄三、成瀬巳喜男、寺山修司、カウリスマキはACTミニシアター。
靴を脱いで入り寝転がって観る映画館で12000円払えば一年間観放題のパスポートが買えた。
タルコフスキーはセイゲイシアター。
任侠ものは新宿昭和館と一時期だけ中野武蔵野ホール。
わが心の一本であるマカロニウェスタン「ミスター・ノーバディ」と出会ったのは早稲田松竹。
ロードショー落ちならギンレイホール。
ロシア映画はキネカ錦糸町。
ピンクやロマンポルノは亀有名画座。
浅草国際や浅草名画座も忘れてはいけません。
ざっと思い出してもこれだけの名画座に大学時代は色々行っていたんですねえ。
授業行ってバイトして自主映画作って道場行ってたんだから凄いスケジュール。
今はかなりの映画がレンタルで観られる環境になって、新宿ツタヤなどはかなり珍しい古い映画でも借りられます。
でも、こういう名画座でスクリーンで浴びるように映画を観る事が出来たのは今考えると幸せだったのかもしれません。
ギンレイと早稲田松竹、浅草の二館はありますが、他はもうありません。
ですが、今はシネマヴェーラ渋谷、ラピュタ阿佐ヶ谷が頑張っています。
文芸座もパチンコ屋の支援を受けて新文芸座として復活しました。
フィルムセンターも竹橋の頃は土日しか上映が無かったのに平日でも上映しています。
名画座は私の映画の原点。
ここに来るような人たちのために映画を作りたいし、何十年後かでも名画座で上映され、観客が喜んでくれれば映画にとってこれ以上の幸せはない。
ただ一つ、みなさまどうか名画座をデートに使っていちゃつかないで下さい。
あそこは孤独な魂を癒す場所です。
いちゃつくなら部屋でDVDでも観て下さい。
そのかわりツタヤのHコーナーにカップルで来るのは許します。
2009年5月1日(金曜日)
昨日の日記を書くのに明け方までかかったので寝過ごした田中です。
残ってたうどん玉で焼うどん、コーヒー、トマトジュースの朝飯。
うちの田舎の福岡では焼うどんと言えば醤油味なのですが、今日はキャベツをしこたま入れてソースとカレー粉のカレー味。
カレー味のキャベツが美味い。
今日もテレビは見ないで食べます。
だって金曜日の「ちい散歩」は再放送なんだもの。
水曜日に撮影した素材をパソコンに取り込む。
取り込んでいる間に「中春こまわり君」を読む。
あのこまわり君が、ジュンちゃんが、登場人物全員が生活の重さに押しつぶされている。
これは「劇画オバQ」以上に切ない。
山上たつひこ、さすがであります。
しかしこまわり君でさえ結婚して家庭を営んでいるのに俺と来たら。
取り込んだ素材を確認。
女の子をきれいに撮るためその子が出る所は露出をオーバー気味に撮影したのですが、デジタルビデオはアンダーよりオーバーの方が失敗した時に汚くなる。
全カット見てそれなりにトーンが統一されているので一安心。
NG抜きをしてコンビニに公共料金の支払いに。
雑誌の棚に「魔法先生ネギま!」で相坂さよ役だった西田麻衣さんが表紙の雑誌が二つも。
あの頃はデビューしてすぐだったけど、今やグラビアアイドルとして売り出し中。
かわいいしスタイルもそりゃ凄いものなのですが、脚本を書いた身としては親みたいな気持ちになって怖くて中を見られません。
表紙を見ても「谷間見せないでいいから」「そんな小さなビキニ着て」「服着なさい」「扇情的な顔しなくていいから」。
あの番組には31人の女の子が出ていたんですが全員に対して親のような気持ちです。
スーパーで買い物をして帰宅。
NG抜きの続きをして夕食。
牛肉薄切りが安かったので余っているトマトジュースを使い切る事も考えてハヤシライス。
適当に肉と玉葱を炒めてトマトジュースとビーフシチューの素とケチャップとソースを入れるだけ。
簡単で美味い。
池波正太郎ならこれにポークカツを付けるんだけど、自炊でそこまでやる気は出ません。
私には三人の師匠がいます。
脚本の師匠は石森史郎先生。
今更言うまでもない実績の持ち主であり、私が人生をかけて乗り越えなくてはいけない目標でもあります。
今でも御世話になりっぱなしであまりにも大きな山ですけど。
現場は田口勝彦監督。
師弟と言うのはおこがましいけど、助監督としてついた時に演出とは、監督とはを色々教わりました。
その作品は結局流れましたが、その時貰ったコンテは私の教科書です。
編集の師匠は冨宅理一さん。
松竹大船撮影所の大ベテランで、助監督の時予算が無くてそのまま助手をやり、その時以来色々と気にかけてもらい私が監督をした時の編集もしてもらいました。
この人の最期の助手は私で、技師としての最後の仕事が私が監督した映画。
冨宅さん自身も「最後の弟子」と言ってくれました。
クセがあり敵も多く、大口叩くので仕事をしている時は「このクソ親父」と何度も思いましたが、仕事が終わった後でも年に何度か「どないやねん調子は」と電話をもらうと「気にかけてくれるんだな」と嬉しかったものです。
作業中にも「小津さんだったらこういう時こういうするんや」「木下さんならこうは撮らんわな」「山根はな」とか教えてくれて今考えると凄い人といたものだと思います。
代表作は「約束」「同棲時代」「ざ・鬼太鼓座」ですが、私は「さらば夏の光よ」と「旅の重さ」が好きです。
「旅の重さ」のクレジットは浜村義康さんですが作業中に亡くなり冨宅さんが引き継ぎました。編集に関して非の打ち所がありません。
編集作業に入ると冨宅さんの一言一言が思い出されます。
一昨年亡くなったのですが、その三ヶ月前に電話がありました。
「田中くんな、客に媚びる必要は無いけど、活動屋として観客が喜ぶようないいシャシン作らなあかんで」
それが最後の言葉でした。
「活動屋」と言われた事が嬉しかった。
まだまだ未熟者ですが、本当の活動屋になれるよう精進したいと思います。
後で聞いた話ですが小津監督の「麦秋」の麦の穂の実景のネガを無くしてOKでないテイクを繋げたのはこの人らしい。
全くこのクソ親父は・・・。
2009年5月2日(土曜日)
11時頃起き、昨日の残りのハヤシ、トースト、コーヒー、野菜ジュースの朝飯。
何だかいつもよりいいもの食べている気分。
実際は残り物食べているだけなんだけど。
近所の図書館にずっと借りっ放しだった本を返しに。
この間出した企画書の資料として借りたのですが、執筆中は側に無いと不安で、すぐ直しが来ると思ったから返しそびれていました。
返却手続きの時、司書に怒られる。
小学生か俺は。
撮影機材を見に単車に乗り秋葉原へ。
ツクモでバッテリーと消耗品を購入し、神田駅前の立食い蕎麦でゴボ天うどんの昼飯。
ここのうどんは何故か福岡で食べていたうどんに似ているのです。
色は薄くても味はしっかりしている出汁に腰の無いうどん。
丸天があれば完璧だけどゴボ天(むこうではゴボウ天をこう言います)があるだけでも嬉しい。
都内にもいくつか博多うどんの店はありますがどうも高級な感じがしてしっくりこない。
ここの安っぽさが丁度いい。
もっとも博多のうどんは都内の店のようなのかもしれませんが。
うちは福岡でも大分の人に田舎って言われるような所ですから。
ゴボ天うどん大盛り350円。
安い!
・・・レストランでPと会食、とか書いてみたいなあ。
帰宅し明日の撮影の連絡と準備。
夜、久々に剛柔流空手の道場へ。
うちの先生は沖縄の伝統に忠実な稽古をするので、実に地味。
なにせ回し蹴りがありません。
当然ハイキックもありません。
「足を掴まれたら終りだろ」
一度やられて体で納得。
〆切を言い訳に最近サボりがちだったのを反省。
稽古で筋肉に負荷をかけた日はタンパク質をきちんと取らないといけないので、夕飯は鳥豆腐。
土鍋に出汁を入れ豆腐、鶏肉、小松菜、ネギを入れるだけ。
ポン酢に入れる薬味の柚子胡椒は九州産に限ります。
気分は池波正太郎の小鍋立てです。
低脂肪で動物性と植物性のタンパク質があり運動後に丁度いい。
ただ酒と飯が妙に進むのが困ったものであります。
大学時代は直心影流の剣道をやっていました。
今思うと無茶な稽古やらされていました。
雪駄でランニングをやらされ(「昔の侍はこれで走ったんじゃ〜」だそうです)
八相の構えで坂道ダッシュをやらされ(「昔の戦はこうだったんじゃ〜」だそうです)
肩車して足捌きをやらされ(外人にやらせたら「私をいじめているのか」とキレられた)
夏の合宿では瀧に入り(言い出しっぺの先輩が脱水症状を起こして強制送還された)
冬の合宿では鹿島神宮の池でみそぎをやらされ(眠ってる鯉が足に当たって気持ち悪い)
雪だるまで介錯の稽古をさせられ(雪だるまを作って手がかじかむので木剣がどこに飛ぶかわからない)
みなさん引いてますね。
でもね、顔に刀傷のある先輩にやれと言われたらやるしかなかったんですよ。
その刀傷は「髪一重の見切りをやる」と言って模擬刀で斬り掛からせて失敗してできたそうです。
そのくせクリスチャン。
もう訳わかりません。
教わってた道場の人たちはまともですよ。
瀧とみそぎはみんなでやってましたが。
ただ一人、戸山流抜刀術が猫を斬って稽古していたと聞いて野良犬を斬りに行った人がいました。
毛並みに弾かれて斬れなかったそうです。
「毛並と逆に刀を入れないと駄目なんだな」
そういう問題じゃないと思うんですけど。
2009年5月3日(日曜日)
昨日の鳥豆腐の残りを卵でとじた親子丼、コーヒー、野菜ジュースの朝飯。
今日も自主映画の撮影に出かけます。
電車に乗っているとズズーッ、ズズーッと音が。
見ると20才位の女の子が一心不乱にコンビニの冷し中華をすすっている。
結構頑張って着飾っているのに。
他にもコンビニに食べ物はあるのに。
なんでよりによって冷し中華・・・
乗客全員見て見ないふり。
すする音と酸っぱい匂いが充満する電車で現場へ。
今日は単なるお手伝いのつもりが急遽カメラを担当する事に。
いやあ男の子は大変です。
全く言う事を聞きません。
自分が作ってくれって言い出したくせに「やだ」と家から出て来ないし。
そのくせ「他の子主役にするよ」と言っても「やだ」と言うし。
なだめすかして撮影を始めたものの、全く指示通り動かない。
用意、ハイで芝居をやらせるなんて無理。
ともかく回して横で何度も言い続けて何とかやってくれたのを使うという方法で撮り進める事に。
ほとんどドキュメンタリー撮っている気分。
芝居の出来がどうこうとか画作りがどうこうなんて言えるレベルではなくその動作を一回やらせるだけで精一杯。
最後は泣き出すし。
言った事を何度もちゃんと出来るなんて子役って凄いわ。
ロケ弁はほっともっとの唐揚げ弁当。
今セールで安いですからね。
何とか撮り終え、別班と合流。
こっちは女の子が出ていたのですが、順調だった様子。
その後、師匠の息子さんの家で飲み終電まで。
オタク話で盛り上がり、しまいには杉良太郎の「君は人のために死ねるか」や西郷輝彦の「ねがい」を歌い出した三十男たちに同席していた二十代の女の子は置いてけぼりです。
「いや〜田中さんオタクとして素晴らしいですよ」と言われましたが、そう言う師匠の息子さんが一番のオタクです。
だって「宇宙鉄人キョーダイン」と「アクマイザー3」の主題歌がパソコンからすぐ流れ出すんですから。
結局終電を逃し遠くの駅から一時間以上歩いて帰宅。
部屋に入った瞬間に沈没。
やっている事がほとんど大学生の頃と変わりませんなあ。
担当の赤松さんから「正直にどんな日常を送っているのか書いて下さい」と言われたので正直に書きましたが、今週は脚本家としての日常が全く無くてすみません。
今日で私の日記は終りです。
読み返して恥ずかしい事ばかり書いていますが、ある漫画家も「自分が描いて恥ずかしいと思うくらいのを描いた時の方が読者は面白がってくれるみたい」と言ってましたし。
でもこれは映画にも言えるのかもしれません。
「監督と脚本家はパンツを脱ぐか脱がないか、どう脱ぐかが勝負だ」と今年公開した映画「年々歳々」の安達正軌監督と話したものですが、「年々歳々」のクライマックスは個人的な思いもあって結構こっ恥ずかしかったのです。
でもプロットを読んだある人がここを気に入ってくれてとエイベックスの企画に勧めてくれて実現しました。
安達監督も現場Pの平体さんも「ここがいい」とノッてくれたのです。
私がパンツを脱いだ所が他の人の心に引っかかったから、私がパンツを脱いだからこの映画は実現出来たのです。
やはりパンツを脱ぐ事は大事です。
って、何でパンツを連呼しているんだ俺は。
ついでに言うと「年々歳々」は小箱を組んで書き出そうとした時、エイベックスから20代前半の女の子が主演と言われていたのに急遽「中学生にしてくれ」ですよ。
せめて高校生で出来るかと思ったけど実際に主演させろと言われた子は小学生。
監督と二人頭抱えました。
「クライマックスだけは絶対変えずに履歴を見直してその子が中学生だったらどういう事が起こるか考えよう」
と設定とハコを組み直し今の脚本になりました。
最初の小箱の時に主要キャラクターの履歴をきっちり作ってたから助かったのです。
みなさん、やはり履歴は重要ですよ。
なんか最終日にやっと脚本の役に立つ話が出来た気が。
どんな映画になったかは夏か秋にはDVDが出ますので実際に観ていただけると嬉しいです。
って、結局宣伝かよ。
一週間ありがとうございました。
明日からはちゃんとした人がちゃんとした日記を書くと思いますのでご安心下さい。
それではこれにて幕といたします。
ベンベン。