シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
    旺季志ずか (シナリオ作家)

  徳島県出身。立教大学文学部日本文学科卒業。
  シナリオ講座第22期研修科修了。
  脚本家・松本功氏の弟子として様々な映画脚本に携わる。

  ■TV
  「正義の味方」「女帝」「スワンの馬鹿!〜こづかい3万円の恋〜」
  「佐賀のがばいばあちゃん」「ガチバカ!」「7人の女弁護士」
  「パパ トールド★ミー 大切な君へ」「アットホーム・ダッド」
  「特命係長 只野仁」「世にも奇妙な物語」「はぐれ刑事純情派」
  「ルーキー!」「温泉へ行こう」シリーズ、「史上最悪のデート」 他


                            


2008年8月4日(月曜日)

みなさん、こんにちは。
旺季志ずかと申します。
簡単な気持ちで、引き受けた日記、いざ、国井さんが書かれたのを見て蒼白になってます。
たぶん、私は、日によっては、三行で終わることもあるかもしれませんがどうぞ、お許しを!
というか、その方が後の人が引き受けやすいって!なんつって……
国井さんとは、「美脚連」というのを結成していて
「美しい足の連合」違いますって
「美人の脚本家の連合」です。あ、これも、違うって、つっこんでる、そこの人っ!?
つまり、自称、美しい脚本家で口が堅く、おいしいもの好きなら誰でも入れる女性作家の会です。ちなみに、まだ会員は4人です。
この会は、女性作家しかわからないような、愉しみ、苦しみ、ぶっちゃけられるので、なかなか会うことができないのですが、非常に愉しみにしています。
というわけで、今日の日記。

8月4日(月曜日)

久々に、人並みな時間に起床。
打ち合わせに出かける。
私は、今、自宅を湘南、葉山に移したため、移動に時間がかかるのだ。
夜中の呼び出しや打ち合わせなどがあり、どうしても葉山だけでは間にあわず、仕方なく麻布十番にも仕事場を構えたが、時間があると、葉山に帰ってきたくなる。
それほど、葉山は、気持ちがいい場所なのだ。

葉山の私の仕事場からは、海が見える。
そして、時々、風が波の音を運んで来る。
ほとんどが、仕事中心に動いている私の生活の中で、窓から見えるこの景色がとてもよい気分転換なのだ。
酒を飲む、パチンコに行く、デートする、作家は、それぞれ、気分転換する何かを持っているのだろうが、私の場合は、住まいを移動する。
葉山にずっと、こもっていると、都会が恋しくなる。
そして、都会に移動する、そして、しばらくすると、海の空気が吸いたくなる
このライフスタイルが今の私には、とってもあってるのだ。

というわけで、自宅を出たところで、隣のおじちゃんと会う。
おじちゃんは、元CMの照明さんで、けっこう、同じような環境で働いていたからか、話があう。
にも関わらず、私の所得の話になり、世間の人と同じような誤解、いや、偏見と言ってもいい、を持っているので驚く。
つまり、非常に、稼いでいるという誤解をしている。
こんな夢のない事を書いていいのかと思うけど、印税が発生する職業の中では、脚本家は、かなり収入は少ない職業ではないかと思う。
前に、同級生に「年収1億はあるでしょ!?」と言われて「誰が!?」と聞き返した。
世の中の人って、ホントにわかってない。

打ち合わせは、スタジオで。
ちょうど行った時、「正義の味方」で主役を演じてくれている志田未来ちゃんが主題歌を歌ってくれている奥村初音ちゃんとスポット撮り。
未来ちゃんは、監督がつける動きをとっさにパッとやってしまう。
まさに天才。今回、本読みで彼女の演技を初めて生で見た時、鳥肌がたったのだが、そんなことは初めてだった。
彼女が演じてくれるホンを書けることに感謝。
撮りの後、スタジオで、初音ちゃんが生で歌ってくれる。
やっぱり、生は違う。声がいい。
こんなことも、連続ドラマの楽しみのひとつだ。

で、ホン打ち合わせ。
時間的になかなか厳しい。今回、私のところに、この仕事の話がきたのは5月初旬。
まさに1話から、超特急での本づくりだ。今も、それは続いていて、24時間後の明日午後7時締め切りでプロットをあげることに。
ふーーーーーっ。
しかし、連続ドラマは、スケジュールもきついし、それだけで生活が終わってしまうけれど、それでも、またやりたいと思う醍醐味がある。
それは、役者の演技や、視聴者の反応を感じて、つくっていくライブ感があるからだ。
私は、このライブ感が好きだ。
ドラマ冬の時代と言われて、数字(視聴率)もそんなによくない中、書くのが辛い現場もある。
でも、今の現場は「面白いものをつくっている」というスタッフの自負がある。
それがある限り、大丈夫。
というわけで、もう日付が変わるというのに、プロット書いてません。
これから頑張ります。

と、いうわけで、これから1週間、こんな調子のおバカな日記を書くつもりですので、おつきあい、よろしゅうに。



2008年8月5日(火曜日)



リレー日記を始めるにあたり、写真をと言われ、写真サイアク!といつも思ってる私は、できたら出したくないと言って、事務局の久松さんが書いてくれたのが、このイラストです。いいですよね!?
私は、すご〜く、気にいって、なんとなく、私の良さがでているというか、洋服の色まで、私のファッションカラーのサマーだったりして、友人からもべた褒めです!
久松さん、ありがとうございました!

昨夜、日記を送信した後、元だんから電話があり。
今、抱えているある問題について、1時間くらい話す。
相手を変えようとすることで、自分のエネルギーをさげることになっているんじゃないか、本当に、相手から手を放す必要があるんじゃないかなどという観点から話す。
相手を変えようとすることで、相手が選んでいるゲームにつきあうことをやっていると、それはずっと続くんじゃないか。
それを変えたければ、まず、自分が変わる事。
私は、何事も自分から発していると思っている。
だから、どんな事も、一時は、誰かや出来事や環境のせいにしても、最後には、自分の中を見る。
それは、時として、メスを自分に入れるようなことでもあるが、結局、一番、簡単で、スムーズに現実が流れることになる。
 元だんとは、男女としてのパートナーシップは卒業したけれど、二人の子供を育てるよき相棒として、そして、互いのよき理解者として、今でも私にとって大切な人だ。
そういう関係を、なかなか理解してくれる人も少なかったけど、最近は、徐々に増えてきつつあるような。
1週間に1度は、元だんが子供と暮らす家に帰ることにしているのだが、今、元だんの家のネットが壊れたこと、夜の打ち合わせが多い事で、先週は帰れず。
子供に会いたい気持ちが募る。

その後、誘惑に負けて、朝まで映画のDVDを観てしまう。
私は、結構、どんなに忙しくても寝る時間は確保する方なのだが、昨日は、5時間くらいで起床することに。
うう、きっと、私が、いつもどのくらい寝ているか知ったら、プロデューサーは締め切りを短くしてくるかも。
だけど、この「睡眠」私にとっては、すご〜く大切な時間。
インスピレーションを育てている時間?とでも言うべきか……なんつって。

夕方が締め切りのプロットを書く。

合間に、フラダンスのクラスに。
葉山に越してくるまで、私は、まったくの運動不足に陥っていた。
フィットネスクラブに、いくら会費を払い続け無駄にしたことか。
それが、葉山に越して、ビーチにある、古民家を改築したクラブに出会った。
ここで、フラや、ワークアウトや、ヨガを始めた。
家から自転車で5分とあって、短パンにビーチサンダルで気軽に行ける。
天候のいい日には、ビーチでフラを踊る。走る。ヨガもする。
これが、最高に気持ちいいのだ。

他の人のように写真載せるテクがないので、あるサイトに載った写真。
このフラを踊ってる中の一人が私だ。
http://www.ozmall.co.jp/special/2008071590TBG/beach/

このクラブに通うようになってから、今まで、仕事に入ると、そのことしか頭になくなる仕事中毒の私が、リフレッシュできるようになった。
シーカヤックに出会ったのも、ここでの話だ。
シーカヤックは、気軽に、海の上を散歩している気分が味わえる。
楽しいのなんのって!
今、書いている「正義の味方」で山田優ちゃん演じる槙子の恋人、良川の趣味がシーカヤックというのは、私の生活から出たのである。

たぶん、私は、他のライターよりも、ずっと映画を観たり、本を読んだりしている体験は少ないと思う。
「シナリオ講座」に通っている時も「ゴダールって誰?」「コッポラって何を撮ったの?」なんて、おバカな質問をして、呆れられていた。
演劇少女(少女にしといて〜!)だった私は、ニール・サイモンやチェホフは読んでも、映画については無知だった。
高校まで、映画館さえないような田舎で育ったこともある。
その時から、勉強してなくて……と、ずっとコンプレックスを抱いてきたような気がする。
それが、ある時、いいじゃん!って、開き直れるようになった。
シナリオライターとして、もちろん、映画を多く観た方がいいに越したことはない、本をたくさん読んでる方がいいに違いない。
だけど、私は、思っちゃったのだ、100本のラブストーリーの映画を観るより、一度の本気の恋の体験の方が、私にとっては、宝なんだと。
小説を100冊読むより、子供におっぱいをあげた体験が私の血となり肉となっていると。
だから、私は、毎日、「生きる」ことを、とてもとても大切にしている。
自分の中の声に耳を傾けて、
「今、この瞬間に100の自分で存在すること」
それが、毎瞬の目的だ。
でもね、自分でも呆れるような事もあった。
オトコとの別れ話の最中に、自分が発したせりふが、あまりによくて、思わず言ったのだ
「ちょっと待って、今のせりふ、メモっていい?」
あはは! そりゃあ、どんなに好きなオトコにでもふられるでしょ!?
でもさ、そん時でも、思ったんだ、
「これって、ネタになるよね」
ああ……我ながら、恐ろしい^^



2008年8月6日(水曜日)

今日は、午後に打ち合わせがあるというので、その時間連絡がくるのを待っているうちに、夕方になる。
プロデューサーの正午に電話するという連絡がなく。

朝、届いた今夜放送の「正義の味方」の完パケを観る。
なかなか難産した5話。
今回のドラマは、浪花節はなし、主人公の姉、槇子の毒を描くために、彼女の内面は描かないというルールがある。
とにかく笑えるもの、カタルシスなし。
たぶん、シナリオ学校では、悪いホンと言われるホンを狙ってつくっている(笑)
このコンセプト、最初、聞いた時は戸惑ったが、やってみるとけっこう楽しい。
しかし、話が深くなってくると、内面を描く方が簡単になってくる。
時間がない中、ホンをつくっているので、どうしても簡単な方に流れそうになるのを我慢する。
だが、できあがったものを観ると、ここ、どうにかしたかったな、と反省点がいろいろ出て来る。
ただ、監督の才能がいろんなところで、キラリと見えて、楽しい。
以前、コメディに書いたホンがいざできあがったら、監督がシリアスにしていてプロデューサーともども青くなったという経験があったが、演出家で、ホンが変わる。テレビは、総合力だと痛感する日々。

結局、電話があるまで惰眠。
夕方になって、やっと、打ち合わせは、夜に電話ですませたいという電話。
連続ドラマをやっている間は、プロデューサーからの連絡は取れるように、いつも携帯を肌身離さずいる。
いつ呼ばれるかわからないからだ。
それほど、連ドラのホン作りの現場は時間との闘いでもある。
私の友人の作家は、連続ドラマに入ったら眠る時もおなかの上に携帯を置いていると言っていた。
さすがに、私は、そこまではしない。
「恋人からの電話でさえ、こんなに待つこともないほど、プロデューサーからの電話を待つ日々を送るのだ」……と、日記の一文が頭をよぎったところで、なんか変だぞということに、ハタと気がついた。
結局、電話がかかるまでの時間、「待ち」に入り、そこには「私」が存在していないことに。
うわ〜、私、今、ここにいないじゃん!
私の人生の主役は私じゃなく、プロデューサーに明け渡してるじゃん!
私が、私の現実の操縦席にいない限り、物事は複雑になっていく。
自分の意識がすべてをつくりだしていることも、すっかり忘れていく。
意識を自分の内側に戻して仕切り直し。
一気に、エネルギーが戻ってくる。

夜になり、電話でプロデューサーと打ち合わせ。
そして、今日は「正義の味方」5話のオンエア日。
オンタイムで観る。完パケでも観てるのだが、オンエアの時間帯に観ると、感じがビミョーに違うのだ。

今日、倉本聰さんが、連続ドラマ引退を発表したという記事を読んだ。
今の連続ドラマづくりの現場に苦言を呈して。
数字(視聴率)を気にしすぎる現場について。
本当に、今の、ドラマの現場は、ものづくりの場所としては、どんどん悪くなっているように感じる。
と、いっても、そんなに昔を知ってるわけではないけれど。
まず、企画が決まるのが遅い、ホンづくりが時間との闘いになる。
何よりも原作ありきの企画がほとんど。
倉本先生や山田太一先生や、私の尊敬する向田邦子さんがテレビドラマを書いていた頃、ドラマは、ほとんどがオリジナルで、その作家の世界観でつくられていた。
数限りない名作が作り出された時代。
その時代を体験していたら、今の現場に疑問を抱くのは当たり前かもしれない。
テレビドラマが今、冬の時代を迎えたのは、ある意味、いいことなのかもしれないと思う。
何かを変えるべきだから、テレビドラマが変わる時だから、そのサインなんじゃないかと思う。
そして、私自身、流れていくテレビドラマの世界の中で、自分が何をやりたいのか、自問自答もしているのである。



2008年8月7日(木曜日)


木曜日の朝、水曜日の数字(視聴率)が出る。
朝、起きると、プロデューサーから数字がメールで入っていた。
11.6%
一桁まで落ち込んだ数字が回復した。
数字で一喜一憂したくない、つくっているものに自信があればと思いながらも正直、数字は気になる。数字の上下で、ホンづくりに影響が出るのは事実だし、結局、テレビドラマは、観てもらわないと意味がないと思うし。
どんなにいい番組を書いても「観たよ」というお客さんがいないのは寂しい。
そして、数字があがるにつれ、多くの人が観る現象が起こるのも事実。

朝から、「書き」「書き」「書き」の一日。

午後の合間に、ビーチのフィットネスクラブでワークアウト。
腹筋やら背筋やら、脚の筋肉やら、コアな鍛え方をしていく。
トレーナーは美しい鬼軍曹。
暑い中、どくどく汗をかく。これがいい。
出かける前は、運動するより、原稿を書いた方がいいんじゃないかとか思ったけど、行ってよかった。
身体を動かすと、頭がからっぽになる。
始終、頭を使っている私には、とてもいい気分転換。
帰りに、トレーナーにデートを誘われたが、残念ながら断る。
私に「女の道」を聞きたいとの事。
笑いました。こんだけ、失敗の多い私に「女の道」を聞いてどうすんの!?(笑)
(私自身は、失敗とは思ってないっすけどね……)
しかし、連ドラに入ると、辛いところが、この誰とも会えなくなる生活。
とにかく、誰かと遊ぶ約束はほとんどできない。するとしたら、グループの会合に行けたら行きますみたいな中途半端な約束。
そんなこんなで、誘ってくれる人がいなくなる。
まぁ、それよりも好きな仕事をしているだけで、幸せなので、いいんですけど……と、言いながらも、この前、ある女性作家が、そんなに急に明日会えませんか、みたいな事言われても無理ですと、うまくいきそうだったオトコにふられそうだと言っていた。
まぁ、それで、ダメなら、それだけの事だったのよ……なんて、経験者はアドバイスしたけど。
って、こんな事書いて、また、シナリオ作家への夢を壊してます?

ワークアウトから帰り、つい、うとうと。
いかんいかん、と、また「書き」「書き」「書き」
今、放映中の連続ドラマはできるだけ観るようにしているので、休憩をとる感じで観て。

今の仕事終了後のスケジュールの問い合わせメールが入る。
仕事を受けるかどうかは、まずスケジュールがあいているかどうかなのだが、それ以上に、自分がその仕事をやりたいかどうか、その仕事を受けてわくわくするかどうかを目安にしている。
「100%の仕事が来る前に、お試しで80%の仕事がくる」と、何かで聞いたことがあり、私は、その80%を選んでしまうのを自戒しつつ。
1年にそんなに何本も書けないなら、本当に、自分がやりたい仕事をしたい。
100の自分で100の現実、100のビジョンを生きたい、そう強く強く思う。

そして、夜、執筆に戻る。
一日のうち、ほとんどの時間をパソコンの前で過ごす。
ワークアウトに行かなかったら、誰とも話さなかったと思う。
って、いうか、誰とも話さない日も多い。
時々、夜中に誰かと無性に話したくなる。
そういう時は、ネットに日記を書く。
今は、代わりに、この日記を書いている。
そして、また「書き」「書き」「書き」
眠くなるまで、書き続ける……今日の一日は、そんな感じ。



2008年8月8日(金曜日)

今日は、08年の8月8日。
何か、とても大事な日のような気がして気持ちを引き締める。
朝、起きたら、私たちの惑星、地球がメキメキと変わっていくのをとてもリアルに感じて、驚きとともに、なんか武者震い。
私も、自分自身に意識を向けて、クリアーなエネルギーそのままで存在したいと思う。
2012年までに、人類は大きな意識の変革をとげると聞いたことがある。
マヤ暦が、2012年で終わっている意味。
私は、すごく敏感なので、いろんなものをキャッチする。
何がわくわくするって、私の中が変わっていくことほど、わくわくすることはない。
すべての出来事は、私が私の変化の為に起こしたもの。
今日の朝は、その実感が強くて、自分の声に、いつも以上に耳をすます。
この前、やっぱり、そんな風に自分の中を覗き込んで、ずっと見え隠れしていた書きたい作品の全貌がやっと見えた。
それからのわくわく感。
これを書く為に、作家になったんだとまで思う確信。
形にしなきゃな。ビジョンで見て、終わりじゃつまらない。
この物理次元は、ビジョンを形にするためにある。

昨日は、というか、今日は早朝まで仕事。
早朝の朝、窓から見える景色の美しいこと、この上ない。
夜明け時の、ブルーの街が好きだ。
その景色を見るだけで、幸せな気持ちになる。

で、今日も一日「書き」「書き」「書き」。
途中、夕方に、ある件で、弁護士さんと電話で話す。
3人目の弁護士さんと話した時、「ビンゴ」のサインが内側からくる。
私が出会うべき人は、この人だという確信。
私のこういう時の確信は、かなりの確率で的中する。
その後、また「書き」「書き」「書き」

夜になって、一日、家にいたこともあり、気分転換をかねて、一色海岸の海の家「ブルームーン」に、晩ご飯を食べに、ちゃりんこで行く。
海の家といっても捨てたものではない。
おしゃれだし、それでいて、リラックスできるし、何より、飯がうまい!
ご飯を食べて、いっぱい呑んで。
夜の海を眺めながら。
私は、夜の海が好きだ。
ふと、どうしても、砂浜に横たわりたくなり、夜空を見ながら波の音を聞く。
ちょうど、ライブが始まって、女性ボーカルの優しい声が流れてくる。
葉山のいいところは、落ち着いている大人のリゾート地なことだ。
女がそんな風に一人遊びをしていても、浮かない。
景色にとけ込んでしまえる良さがある。
思えば「一人の時間」が好きだ。
その豊かな一人の時間があるから、大事な人といる時が、更に輝く気がする。

帰って来て、ドラマを観て、また「書き」「書き」「書き」

大切な今日の一日が終わる。
こうやって書きながら、なぜか、とても深い感謝の気持ちがわいてくる。
今日の一日に。
私を存在させてくれるあらゆるものに。
ありがとう。



2008年8月9日(土曜日)


今日も朝から「書き」「書き」「書き」っす。
明日の朝が締め切り。

夕方、ビーチのフィットネスクラブへ。
「ストレッチ」と「フラダンス」
初めて出た「ストレッチ」短い時間だったけど、ストレッチボールという棒状のマットの威力に感動。
すっかり、肩甲骨の凝りがはがれて、身体の中からホカホカ。
ストレッチ界では「魔法のボール」と言われているそうな。
気がつかなかったけれど、ほぐれてみると、連日のパソコン疲れで、かなり身体がこっていることに気づく。
その後、「フラダンス」
フラは、簡単そうに見えて、実は膝を曲げる「アイハー」という姿勢で踊っている。
腰を振っているように見えるが、腰を振るというより、体重移動で、腰が動く。
結構、きついダンスなのだ。
フラの始まりには、いつも「オリ」という祝詞みたいなハワイ語の詩を唱える。
私は、この瞬間が好きだ。
「オリ」を口ずさんだ途端、ハワイの風が吹くような気がする。
そして、不思議なことだが、いつも、老婆のエネルギーを感じる。
ビジョンも見る。なつかしい、気高い、誇り高い老婆のスピリットがやって来る。

「フラ」が終わった後、帰途に。
今夜は、ある人との約束があり、時間をあけていたのだが、急遽、仕事に。
締め切りが気になっていたのだが、ちょっと、心の蓋をあけてしまい、見ないようにしていたものと正面を向いた。
今夜は、行かない。
そう決めて、仕事に向かう。
考えれば、どんな時も仕事をしてきた。
辛い時に、コメディを書くのは、すごくきつかった。
だけど、結局、仕事は、私を支えてくれたような気がする。

ある時から「肩書き」や「仕事の評価」を付随して見られるのが嫌になった。
「脚本家」だから、ちょっと大事にしてもらえるみたいな体験があって、それもいいのだけれど、何かちょっと違うような気がして。
「脚本家」としての実績なしの、ただの「私」で人とつきあいたい。
そんな風に思うようになった。
仕事の実績をもたない「素の私」を、そのままで、つきあってくれる人が欲しい、そう思うようになったのは、周囲があまりにも仕事関係の人ばかりになったからかもしれない。
でもね、やっぱり、これも「私」なのだろう。
今は、そう思う。
それほど、この仕事は、私が生きること、そのもののように、私と一致している。
私の大好きな作家、芹沢光治良氏が「生きる事 書く事」という小説を書いたが、私にとっても、生きることは書く事で、書く事が生きること、そんな風に思う。
だから、書く事に「恋いこがれている」私が、今は、両思いになって、すごく幸せだと思う。

んな事を、ビールを飲みながら書いている。
葉山の夜は、本当に、美しい。
そして、毎日が動いている。
この美しい地球に遊びに来たことを思い出す、なんの為にここに来たのかも思い出した。
まずは、おいしい食べ物を食べに。
もっと、もっと、自分に戻っていこうと思う。
閉じていた心の蓋を開いて、その先に出て、そこで、私は、ものを書きたい。
心の底から、祈りにも似た気持ちで願っている。

さぁ、仕事に戻ろう。
締め切りまで、数時間。



2008年8月10日(日曜日)

うう〜眠いっす〜
今、11日の朝、四時です。
ただいま、打ち合わせから帰りました。
今日は、麻布十番の仕事場に。
夜の8時から打ち合わせ。
直した原稿の締め切りは、20時間後の深夜。

今日は、午前中は爆睡。
夜の打ち合わせと聞いていたので、妹の家から見える東京湾の花火を見に行こうかと思っていたら、生田スタジオで打ちあわせとのこと。
こうやって、お出かけの機会がなくなって、悲しいのは、お出かけ用の新しい洋服を着るチャンスがなく夏が終わってしまうこと。
私は、着物が大好きで、特に夏の着物を好んで持っているのだけれど、一度も袖を通さずに季節が終わってしまうのが哀しい。
と、いうわけで、悔しいので、ここ一番の時にと思って取っておいたサーモンピンクのワンピを着て打ち合わせに。
だけど、ちょっとおしゃれするだけで、心が弾む。
私って、相当、単純。

昨日の夜、ちょっと自分の内面と向き合うことが起こり、でもね、必ず、そういうことを起こした後には、起こす前よりも、ずっと居心地のいい自分になる。
きっと、複雑な出来事は、もう、ここではありませんよ、の合図なのだと思う。
そして、自分の内側を見るチャンスになる。
何がかわったわけでもないのに、今日は、自由な風が吹いている。

打ち合わせは、プロデューサーも監督も才能が豊かで、こんなチームで仕事できる幸せを感じる。
いいホンができるかどうかは、脚本家の力も大きいが、いかに、そのチームが才能の集まりであるかも大きいと思う。

というわけで、1週間、おつきあいありがとうございました。
昨日、脚本家という肩書きについて書いた一節を読んだ方から、いろんなメッセージをいただいて、大きな気づきがありました。
私が書くドラマも、私の表現なんだということ。
「書けなくなったら、人がはなれていくんじゃないか」みたいな幻想を持っていたことにも気づきました。
「私の価値は、書く力」みたいな幻想。
すごい幻想ですよね。今は、その幻想を突き抜けた先に出ていこうと思います。

とっても眠いので、まとまらない文章ですみません。
でも、きっと、その方が、このリレー日記の醍醐味が伝わるかもしれないし、という言い訳なんかしつつ。

明日から、この日記を担当してくれるのは、吉田玲子さん。
シナリオ講座の研修科で同期でした。
当時、吉田さんは、既にプロデビューされていて、私たち、アマから見ると、憧れの的。
その時は、一方的に存知あげているだけだったのですが、去年「女帝」で助っ人に入ってくださって再会しました。
週末は葉山で過ごすということで、ご近所さんに。
それから仲良くさせていただいています。
どうやら、このリレー日記、「恐怖のバトン」と噂されているそうな……
そんなバトンを渡してしまい、恐縮ですが、静かで穏やかなお人柄なのに、その内側に、何かをきらりと隠し持っている感じがして、日記を誰よりも楽しみにしているのは私です。どうぞ、よろしく、玲子さん。


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