シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
    大安佐智 (シナリオ作家 )

  兵庫県出身。芦屋市在住。

  朝日新聞地域情報誌・管公庁発刊誌の編集・執筆に携わった後、
  旅行作家として活動。ひょんな経緯から脚本の魅力に取りつかれ、
  現在に至る。

  映画:「心の絆〜この海から、ふたたび〜」
  舞台:「招かれざる客達」「夏祭り」
  短編映像小説:「人魚になった日」「夢から目覚めたら」他


                            


2009年3月16日(月曜日)

今日から、関西メンバー4番手として、当ブログを担当させていただきます。
皆様のブログとは、内容に歴然の差があると思いますが…。
笑ってお許しくださいませ。

申し遅れましたが、大安(おおやす)と申します。
16日から1週間、どうぞ宜しくお願い申し上げます。


さて…。
今日は1日目なので、自己紹介を兼ねて日記を書かせていただこうと思います。

実は私、脚本を手掛けさせていただくようになってから、まだ年数が浅いのです。
それまでは(と言っても、現在も並行しているのですが…)旅行作家として筆を
取っていました。

脚本家になったのは、auのCMではありませんが、まとめて話すと
「仕事で映像業界に関わることになったから…」という、
いとも現実的な経緯からなのです。

その時、本に画と音が加わることで、より一層の臨場感を表現できる…と、
熱く映像の魅力を語ってくれた人がいて、興味を持ったのが始まりでした。

「旅行作家からなんて、邪道だ」と思われてしまうでしょう。
事実、脚本家としては、まだまだ未熟な私です。
しかし、この旅行作家としての経験が、私が本を書く上において、
大いに役に立っています。

私の場合、旅行作家と言っても、「○○に行くなら、ここ!」
「○○を十倍楽しむ方法!」的な物を書くのではなく、
訪れた土地の風情や文化を、そこに暮らす人々を軸にして描くことを
主としています。

そのためには、取材というより、仲間に入れてもらい、日々の他愛もないことを
話したり、一緒に行動したりと、そこに暮らす人々と同じ目線で考えたり、
見たりしなければなりません。
もちろん、なかなか受け入れてもらえない時もありますし、逆に善意の
観光案内に閉口したり…。

そんな風にして、そこに暮らす人々と何日か接していると、いろんなドラマが
見えてきて、悲喜こもごもの中に “心” を感じることができますし、しいては、
その土地の風土や文化がどのようにして培われてきたのかまでも、理解させて
もらえるというわけです。そして、それが、脚本を書く上においても、
とても大きな財産となっているのです。

話は前後しますが、
私が旅行作家になったのには、それなりの理由があるのですが、それは横に
置いておきまして、私には、放浪癖とまではいきませんが、逃避願望がある
からなのかもしれません。

幼い頃から、海外や国内(と言っても主に関西圏ですが)を転々として、
一つの場所に定住するという観念が養われなかったからなのか、それとも、
持って生まれた性分なのでしょうか、困ったことに、3か月も経つと息苦しくなって、
どこかに飛びだしたくなるのです。

時間に余裕のある時は、さっさと飛行機に乗って、どこかに逃避するのですが、
仕事に追われている時は、読書や映画に逃避行。締切時間の許す限り、
ギリギリまで逃げまくります。

でも、この簡易逃避の読書や映画も、私にとって、とても大切な時間になんです。
他愛もないワンシーンに脚本のヒントを見つけたり、こういう考え方もあるんだ…って
気付かせてもらえたり。

脚本を書くために見たり読んだりするのではなく、日頃から楽しんで接している
からこそ、本を書く折に、閃きとなって舞い降りて来てくれるのだと思っています。


3月も半ばに入り、すっかり春めいてきた今日この頃。
今日も青空が広がっています。
こんな日のことを、逃避行日和と私は呼んでいますが…。

あ〜ぁ、どこかに逃避行したい〜!!!!
でも、明日締め切りの本を1つ抱えていて、今はとても逃げてる場合じゃない!

さて、ここは逃げずに、頑張るとしましょう! φ( . . )カキカキ

ではまた明日。



2009年3月17日(火曜日)

今朝、今日締切の脚本を、とりあえず提出しました。

本当は、とりあえず…なんて、口が裂けても言いたくありません。
間違っても、自分を有能とは思いませんが、私なりに意図があり、
セリフ一つに思いを込めて、真剣に書いているのですから。
でも、時として、それを言わざるを得ない現実に出会うこともあるのです…。

様々な諸事情。そのために、自分の書きたいこと、伝えたいことを
変えざるを得なくなる…。

「これは、私の本じゃない…」書いているうちに、惨めな思いが込み上げくる。
「ご希望通りに仕上げてみせようじゃないの!」もう一人の私がそれを否定する。

「プロなら、自分の意に沿うものを貫き通せ!」
「いや、プロなら、要望に叶う本を書くべきだ!」

様々な意見が飛び交います。
真剣に考えさせられ、まだ答えにたどり着けずにいます。

「白だ黒だと言ってるうちはダメだね。グレーが大事なんだよ」

悪友の一言を、未だ素直に受け入れられない私。
まだまだ未熟な自分を、しみじみ思い知らされます。


さて、今日、3月17日は、母の誕生日です。喜寿を迎えました。

日頃、親孝行の真似事さえもできない私は、
「せめて誕生日ぐらい…」と思って、ちらし寿司を作って実家に出向き、
共に過ごす時間を持つよう心掛けています。

そんな、“ささやかな、お誕生日”を続けていた私ですが、去年突然、
ふと気が付いたことがありました。

私が小学生の頃、母はバースデーケーキを用意してくれていたのに、
母の誕生日には、バースデーケーキを見た記憶がない…。

私の両親は、昭和一桁生まれ。
ケーキの上のロウソクを吹き消す…なんてイベントは、きっと経験無いはず…。
そこで、去年のお誕生日に、バースデーケーキを用意して持って行ったのです。

最初は照れていた母も、父の勧めもあって、一緒にバースデイソングを歌い、
笑顔でロウソクの火を吹き消し、
「こんなことするの、生まれて初めてだわ…」と言って、喜んでくれました。
贅沢を嫌う母なので、内心案じていたのですが、
楽しい思い出をプレゼントできて、本当に良かった…。

そんなわけで、今日もケーキを持参しました。
桜の花びらをかたどった、季節感を感じる可愛いケーキ。
「春だね」と言って、笑顔でロウソクの火を吹き消してくれた母。
母の笑顔を見て、微笑む父。ことしも楽しい思い出をプレゼントできて、
本当に良かった。。。

実は今、母は病と闘っていて、外出も出来ない日々を送っています。
父の喜寿の折には、近くのホテルに席を設け、親族一同が集まって
気持ばかりのお祝いの会を持ちました。
だから、母に同様にお祝いしてあげたかったのですが…。

来年のこの日も、母の笑顔を見ることができますように。



2009年3月18日(水曜日)

今日も良いお天気でした。
私は青空が大好きなで、晴れているだけで気分爽快になるのですが、
その青空の中を飛行機が飛んでいるのを見ると、超機嫌様になります。

太陽光を浴びて、キラキラ光りながら飛んで行く様って、
目的というか、夢に向かってまっしぐらに突き進んでいるみたいで、
(まぁ、それが飛行機の仕事なのですが…)
「私も頑張ろう!」「頑張れる!」って意欲が込み上げてくるからです。

それに、飛行機は趣味?の逃避行には欠かせませんしね。
「近いうちに必ず乗るから、待っててね」と、見えなくなるまでずっと眼で
追い続けている在り様です。

そんなわけで、晴れた日には、飛行機を見るだけのために、用も無いのに
飛行場に行ったり、シアトルにあるボーイング社の工場や、ダラスにある
AmericanAirlines(AA)の飛行機博物館にも、飛行機に会いに行って
しまうくらい、飛行機好きな私。

中でも一番のお気に入りのAA機は、軽量化が目的で、あえて塗装を施さない
のだそうですが、あの輝くシルバーの機体には、洗練された魅力を感じます。

実は私、そんな、大好きなAA機が登場する本を書いて、いつか必ず映画に
して、世に送り出してみせる!という密かな野望を持っています(笑)


…って、どうでもよい話でした。。。

さて、青空を飛ぶ飛行機を見て、ご機嫌モードで始まった今日は、
溜まっていた雑用に手を付けようと、朝から家の中でドタバタ、ドタバタ。

車のkeyの電池交換、新しく買ったPCの設定、デスク周りのお片づけ、
積み上げられたままの文庫本の整理…等々。
小休止をはさむこと数十回。WBCを“ながら見”しながら何とか終了。
めでたし、めでたし。

でも、侍JAPAN、負けちゃいましたね…。
キューバ戦、頑張ってもらいたいものです。

そんなこんなで、後はのんびりゆる〜く過ごそうと思っていたのですが、
夕方になって、会社の決算処理とやらで税理士から呼び出しが掛り、
しぶしぶ出掛ける羽目に。。。。

あ〜あ…DVD3本観ようと思って、楽しみにしていたのに…。
数字のことはお任せしますから…、どうか私を呼び出さないで…。

結局、大嫌いな数字とにらめっこして、のんびり過ごすどころか、
劣悪な業績に頭が痛くなって帰って来ました…。

今日はもう、寝するとします…。  また、明日。



2009年3月19日(木曜日)


爽やかな日和も、今日でいったん小休止。
関西圏は、今夜半から雨になるそうです。

今日こそは、DVDを観ようと思っていたのに、朝から電話が鳴りっぱなし。
重なる時は重なる…と言うけれど、取引先からの進捗確認電話に始まり、
打合せの電話、先日取材した方からの電話、続いて、ご無沙汰している
友人からの電話2本…。お昼過ぎまで受話器を握っていた気がします。

移動時間や移動距離を考えると、電話やメールの方が断然効率がいい。
でも、それに頼ってしまいがちな私は、ついつい出不精になってしまうので、
出来ることなら、時間を作って会いに行く方がいいと思っています。
それに、顔を見ながら話しする方が、微妙なニュアンスまで伝わるから、
私としては、その方がホッとするのです。

そう言えば、先日、忙しい中にせっかく電話を入れてくれた友人にも、
「じゃあ、近々ぜひ!」と言っておきながら、まだ連絡を入れていない…。
もっとも、その時点では仕事が重なっていて、身動きが取れなかったのだけど…。

今月末締切の本が1本。常に頭の片隅において構想を練ってはいるのだけど、
実は、まだ形にしていない。
ギリギリまで逃避する私のことだから、来週半ば辺りになったら奮闘するんだろうな…。

「よし、今のうちに会いに行こう!」って、思い立ったけど相手の都合が…。
巧く行かないものですね…。

気がつけば、今日も無駄に時間を過ごしてしまいました。
今からDVDを見るとします。

また明日。



2009年3月20日(金曜日)

今日は、お昼から来客がありました。
「情報交換&作戦会議」と称し、ワイワイガヤガヤ言って終わる
雑談会なのですが…。
去年から、止むえない事情で活動に制約のある私のために、
遠路はるばる(しかも全く遠慮なく押し掛けて)来てくれるのです。

話の中身は、企業秘密(…ってどんな値打があるんだ…)で書けませんが、
個々に、今手掛けている仕事をより向上させるために、何をしている…という、
とってもポジティブなお話。

どんなに活躍している人でも、いえ、活躍している人だからこそ、
決して日々の努力を怠らないものです。
表向きには、お気楽そうに見せているけど、決してそうじゃない。
頭が下がるくらい、好奇心旺盛で、勉強家で、行動的です。

話をしているうちに、なんだか自分が恥ずかしくなってきました。
どんな状況においても、やるべきことはやれよ!と。
今日はみんなで押し掛けてきてくれて、本当にありがとう。

話は変わりますが、今、舞台脚本を手掛けていまして、
演出家の方に、とても良い勉強をさせていただいています。
その演出家の方は、長寿番組で知られる某時代劇の監督を
されておられる著名な方なのですが、不肖・私にも丁寧にご指導くださいます。
本当に、ありがたいことです。
この場を借りて、心より、ありがとうございます。

そんなこんなで、今日は有意義な一日を過ごすことができました。

私を支えてくださる全ての方々に心より感謝して…。
おやすみなさい。



2009年3月21日(土曜日)


先日頼まれた取材の期限が迫ってきています。
と言っても、締切にはまだ時間はあるのですが、
取材だけは早く済ませておきたいので、アポを入れました。

遠出&連泊の取材になるので、スケジュール調整が大変です。
こんな時、もう一つ身体があったらなぁ…なんて、つい、子供みたいなことを
思ってしまいます。

でも、遠出の仕事は嫌いじゃありません。というより、むしろ好きなのです。
現実逃避じゃないですが、暫し異空間に身を置くことは、頭の切り替えに
とても良い刺激になりますから、私には不可欠な行為です。

以前は、1週間のハワイ取材を経て、帰国翌日にアメリカ2週間といった
過密スケジュールをこなし、それを苦も無く楽しんでいました。
もっとも、旅行業界誌に携わる人は、そんなの日常茶飯事で、
1か月、2か月の長期取材は当たり前のことなのですが、そういう仕事の
スタンスは、私の性分に合っていると思います。

以前、映画の脚本を手掛けた時も、現地へ何度も足を運びました。
ロケーションの港の夜はどんな感じなのか、夜明けはどんな感じなのか…。
風景だけでなく、音や風、そこに漂う匂いまで一つ一つ実感したい。
そして、その土地を表現するに相応しい、その物語に相応しい表現を
身体で感じたいと考えるからです。

実際に見聞きしたこと、肌身で感じたことは、表現するにあたっても、
説得力が全く違います。
頭の中だけで練った話は、所詮、空論でしかなく、浅いものしか掛けません。
机上で小細工したものは、すぐに見透かされます。

何かを表現するとき、どんな些細なことでも、実体験がものをいうのは
間違いありません。
もし、今、皆さんが、何を書こうか…と、じっとPCと睨めっこしているのでしたら、
どうぞ表に出て風を感じてみてください。素晴らしい閃きに必ず出会えますから。


ではまた明日。



2009年3月22日(日曜日)

今日は、朝から脚本の打ち合わせで大阪市内まで出かけていました。
出掛ける時から夕方までは曇り空で、もう雨は去ったような空模様でした。
しかし、帰りの電車が甲子園に差し掛かった頃から土砂降りになり、
芦屋駅に着いたとき、突然ド〜ンと物凄い音。
界隈に雷が落ちたらしく、駅北にあるビルのエスカレーターがストップしていました。

一瞬、悪い予感がしたのですが、家に帰ると予感的中。
電話回線がやられていました。全く、応答なし。
試しに、携帯から家の固定電話に掛けてみると、
「お掛けになった電話は、電源が入っていないか、機械の故障で繋がりません」
と、のたまわれました。やっぱりか…。

慌てて電話局に連絡したのですが、遠隔操作が不能とのことで、
明日、マンションへ来て、修理しなければならないとの返事…。最悪…。

とはいえ、データは一応無事だったので、良かったと思わなければ
不幸中の幸いと喜ばなければならないのでしょうが…。
それに、外出時用にエッジも持っていたので、この日記も今日中に
投稿できそうです。全く、ヤレヤレです。

日頃、文明の利器に頼り過ぎていると思ってはいるのですが、
こんな時、本当に痛感します。

今日は、打合せと電話の件で、本当に疲労困憊です。
もう頭が機能していません…。

今日で最終日なので、締め括りに何か気の利いたことでも書こうと
思っていたのですが、とても気力がありません。。。。
つたない日記ばかりで、お恥ずかしい限りですが、後少しだけ、
思うことを書かせていただきます。


脚本家を目指されておられる皆様、
映画でも、書籍でも、観る人読む人によって、感じ方はそれぞれに違います。
百人いれば百通りです。
お褒めの言葉を下さる人もいらっしゃれば、貶す人もいらっしゃいます。
それで当然なのです。
だから、誰に何を言われようと、ご自分が書かれたものを決して卑下しないでください。

もちろん、自己満足や自信過剰はいけませんが、御自分が書かれたものを、
愛してあげてください。貴方が書いた本の、一番のファンであってください。

そして、貴方の作品を貶す人の言葉に、素直に耳を傾けてください。
そこから、貴方の成長につながる何かが必ず見えてきます。
自分の好きなことをしているのですから、苦しさも幸せなことなのです。

どうぞ、義務とかではなく、好きで楽しんで、やり続けていただけたら…と、
心から願います。

一週間、ありがとうございました。


リレー日記TOP