2009年7月7日(火曜日)
今日は、一日中部屋にこもって執筆していました。というわけでネタがありません。……じゃあ、ダメなんですよね(笑)。結局、締切を過ぎても原稿は上がらず。プロデューサーも可哀相に……(笑)。
私は「とりあえず出す」ことができません。よくプロデューサーは締切を過ぎるとこの台詞を言います。でも、「嫌だ!」と拒みます(笑)。納得していない状態で出すと、大抵「……う〜ん」という反応が返ってくるからです。向こうもある程度の内容を期待しているということなのでしょう。逆に、いくら締切を過ぎても、納得のいくものを出せば、喜んでくれます。もちろん、締切を過ぎれば、待っているプロデューサーもハードルを上げてくるはずです。だから、私は、「こんなに遅れているんだから、面白くないと納得しないぜ。ヘッヘッヘ」というプロデューサーの顔を勝手に想像してしまい、余計に出せなくなってしまうのです(笑)。一日過ぎれば、このくらい面白くないと。二日過ぎれば、ここまで面白くなっていないと。こんな風にどんどん自分の首を絞めていく……。これが遅筆の原因……と言ったら怒られるだろうなぁ(笑)。
こんな私と仕事をするプロデューサーも大変です。私と仕事をしたことのあるプロデューサーは、私が嘘つきだという性格を熟知しているので、私の発言を鵜呑みにはしません。たとえば「昼までに原稿をあげます」といったら、夜に原稿が届くと思っているようです。だから、昼過ぎになっても催促の電話がきません。非常に優秀です。たまに、初めて仕事をするプロデューサーが、約束通りの時間に電話をかけてくると、不機嫌になったりします(笑)。「昼に出すと言って出せないのは、こっちも闘っているからなんですよッ!」といった具合に。はっきり言って理不尽です(笑)。可哀相に……。
だから、こんな私と一緒に仕事をして下さるプロデューサーは一枚も二枚も上手です。それは締切の日を決めるやり取りにも影響してきます。たとえば、「5日でお願いします」と言われたとしましょう。ここで私は一つの疑問を抱くわけです。締切直前じゃないと書き出さないという私の性格を知っているプロデューサーだったら、締切を早めに設定しているのではないか、と……。つまり、5日を指定したということは、7日ぐらいまでに原稿があればいいはず……。私は勝手にそういう結論を導き出して、つい7日が締切だと思い込んでしまうのです(笑)。結果、10日後あたりに提出するのですが……(笑)。これが遅筆の原因……と言ったら怒られるだろうなぁ(笑)。
たいして面白くないもない内容に無理やりつけた(笑)マークが10個になったので、今日はこの辺で。残り五日。よろしくお願いします。
2009年7月8日(水曜日)
先日、奥さんが言った。
「○○さんの子供がサイン欲しいんだって」
珍しいな、と思った。奥さんは私が役者にサインを頼むことが何よりも嫌なことだと知っているからだ。だから、奥さんからこのような台詞を聞いたことがなかった。それが、なぜ……。よっぽど断れない友人なのだろうか。私は不機嫌そうに訊いた。
「誰の?」
「貴方の」
「……俺の? 俺のサイン?」
何が哀しくて、こんなメタボ中年のサインなど欲しがるというのだろうか。奥さんが言うには、職場の同僚の娘さんが、私のこれまでの作品をほとんど観ていて、『アタシんちの男子』も楽しく観てくれたらしい。なんて素敵な女子高生でしょう(笑)。これまで家族や友人に冗談半分で書いたことはあったけど、まさか女子高生に書く日が来るとは思ってもみなかった(笑)。私は期待に応えるべく、意気揚々とサインペンを手にした。
だが、いざペンを持ったものの、手に汗びっしょり。何ですか、この緊張は……(笑)。思わず、これまで何万回と書いた名前を間違えそうになる。とりあえず原稿の裏を使って練習した。やがて、緊張はほぐれ、つい調子に乗って、芸能人のサインっぽくぐちゃぐちゃに書いてみたりもしたが、書いても書いても同じサインにならない(笑)。芸能人はなぜ同じサインを何枚も書けるのだろうか。不思議だ……。結局、普通に名前を書くことになった。
いよいよ、『アタシんちの男子』のポスターにペンを入れた。すると、すかさず奥さんの突っ込みが炸裂する。
「ポスターの裏に書いてどうすんのよっ」
「いや、ポスターの邪魔になると思って……」
「貴方のサインがメインでしょ!」
「分かったよ……」
「って、字が小さ過ぎる!」
「いや、ポスターの邪魔に……」
まるで漫才のようなやりとりが続いた後に、ようやく完成。我ながら会心の出来栄えだったのだが、「……ま、味のある字というべきか」という奥さんの一言が気になった(笑)。
でも、たかがサイン一つでこんなにキョドっているオッサンだと知ったら、さぞかしショックだろうなぁ。
今日はこの辺で。残り四日。よろしくお願いします。
2009年7月9日(木曜日)
昨日からほとんど寝ていない。いよいよ決定稿への追い込みだからだ。もう時間がないので、電話やメールのやりとりで進めていく。その間、何を食べたかとかいつトイレに行ったとかも覚えていない。ああ、寝てないって怖い。でも、私は追い込み時期になるとほとんど寝ない。意識朦朧という極限状態でシナリオと向き合ってこそ、人間の本質を描けると……嘘です。単純にそれまでサボり過ぎて寝ることが許されない状況に追い込まれているだけです。あまりに嘘過ぎて食い気味にゲロっちゃった(笑)。
今回はこれまでで一番時間が無かった。クランクインはもう直前。私はヘトヘトになりながら原稿をあげると、すぐに監督から電話がかかってきた。
「最後に打ち合わせしたいんですけど。2時間で終わりますから」
これが最後だと言い聞かせながら、スタッフの車に乗って監督の家に。それが午後6時。そこから12時間、ずっと打ち合わせ(笑)。2時間って言ったのにぃ。監督も寝てなかったので、二人でウトウトしながら、時に雄叫びを上げて気合いを入れながら、最後のページに向かって突き進む。途中、「み、右目が開かねえ」とか意味不明の現象に焦ったり、考えながらテーブルを歩いているうちに目が回って気持ち悪くなったり、ここまでくると、執筆という名の総合格闘技ですよ。どっちが先に倒れるか、みたいな(笑)。
朝6時に何とか原稿を上げて、誤字脱字のチェックをしてもらっている間に家に帰る。そして、1時間寝た後で原稿の最終チェック。……あれ、何だ、この台詞は? 気になることが次から次へと出てくる。昨日は完璧な仕上りだと狂喜乱舞していたのに。ああ、寝てないって怖い。昨日の監督の意見を思い出しながらもう一度台詞を書き直す。そして、プロデューサーに出して、入稿へ。……終わった。脱稿だぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ! 興奮をそのまま字で表現してみました(笑)。
脱稿の後は解放感とやり切った感でテンションが高くなって逆に寝られなくなってしまう。いつも思うのは、「脱稿」という言葉を耳にした途端、どんな苦労も報われてしまうということ。とにかく、終わった。さあ、何をして遊ぼうか! 買い溜めてあるDVDを観て、毎日飲み歩いて、前々から誘われているゴルフにもチャレンジだ。もちろん、家族と旅行にも出かけるぞ! そう言いながらカレンダーを見ると……来週、打ち合わせ? ……意識朦朧としていた間に入った次の仕事の依頼をすっかり忘れていた。ああ、寝てないって怖い(笑)。仕事をいただけるというのは幸せなこと。というわけで、少し休んでまたお仕事頑張ります!
今日はこの辺で。残り三日。よろしくお願いします。
2009年7月10日(金曜日)
脱稿したおかげで、先送りにしていた娘の誕生祝いがようやくできる。というわけで、ディズニーシーに行ってきた。脱稿したこともあって、私のテンションもかなり高い。到着と同時に、二歳になった娘ときゃっきゃはしゃぎながら園内へ向かって猛ダッシュ。「チケット! チケット!」と叫ぶ奥さんに気づいて、猛ダッシュで引き返す。この往復で息が上がった。……嘘です。はしゃぎながら園内には向かいましたが、走りはしませんでした(笑)。どうしてどうでもいい嘘ついちゃうんだろうなぁ。下半期の課題だな。
さて、園内に入って私と娘のボルテージは最高潮。キャラクターに抱きついて写真を撮りまくる。半年前に来た時、娘はミッキーを見ても嫌がって泣いていたのに……。成長したなぁ。はしゃいでいたと思ったら今度は泣きそうになっている私を見て、奥さんは気味悪がったに違いない。それにしても、一つ屋根の下に住んでいるのに、こんな時にしか子供の成長を実感できない私って……。
久しぶりのディズニーシーは本当に楽しかった。来る前は、幼い子供が楽しめるのだろうかと不安に思っていたが、その想いはすぐに吹き飛んだ。アトラクションに乗れなくても、水遊びが出来たり、一緒に写真を撮れる場所がちゃんと用意されていたり、楽しみは尽きない。夕方には、娘もはしゃぎ疲れて寝てしまった。それにしても、ディズニーランド(シー)のエンターテイメント性は高い。どの年齢でも楽しめるサービスは、テレビドラマにも共通して……などと何でも仕事に結びつける性格ではないので、私自身も無邪気にはしゃいだ。特にミッキーを見つけた時は、「うおーッ! ミッキーだぁ! ミッキー、こっち見てくれぇぇ! 写真だ、写真! 早くデジカメ出せって!」などと奥さんに大声でまくしたてて、周囲から冷笑を浴びた(笑)。他にも満喫した様子を紹介しようと思ったのだが、よく考えてみれば、これはシナリオ作家協会のブログなので、割愛させていただく。
家に帰ると、昨日入稿した台本が届いていた。やはり製本された台本を手にするのは嬉しい。表紙を見るのも楽しみの一つだ。表紙のデザインで制作スタッフのセンスが分かると言っても過言……か(笑)。とにかく、台本が完成してよかった(笑)。今回は完成しないかもと思ったこともあったし……。台本を手にすると、私の役目が終わったと実感できる。もちろん、現場の相談には乗るけど、監督には脚本が完成するまでの間に、こちらの意図はすべて伝えてあるので、基本的には現場にすべてをお任せしている。
私は台本を大事そうに抱えながら、眠りについた。……嘘です。台本は手にしていません。つい、「脚本をこよなく愛している私」を演出したくなってしまいました(笑)。
今日はこの辺で。残りあと二日。よろしくお願いします。
2009年7月11日(土曜日)
今日はあの「ドラゴンクエスト\」の発売日。中学生でゲームをやらなくなった私でも気になるほどだ。やはりすごい影響力なのだろう。職業柄、この社会現象を見逃すわけにはいかない。そんなミーハー気分でゲームを予約したのが二週間前。私は引換券を片手にゲーム屋へ向かった。
普段馴染みの無いゲームコーナーは見るものすべてが新鮮だ。さっそく店内を観察する。やはり訪れる客の多くはドラクエが目的のようだ。でも、一見してゲーマーだと分かる人だけではなく家族連れやギャルまでもが手にしていく。さすがドラクエ。私もそれっぽくパッケージを手にして、裏に書かれた概要を確認する。……全然分からない。何だ、この難解な機能は。いや、それより何だ、この美しい映像は。私が知っている携帯型ゲーム機といえば、ドンキーコングのゲームウォッチ……とまではいかないが、それでも白黒画面のゲームボーイだった。う〜ん、私の知らない間にここまで進化を遂げていたとは。ゲーム業界、おそるべし。うるさく店内に鳴り響くゲーム音が私を非日常の世界へといざなう。そのうち、ゲームに無知な自分が恥ずかしく思えてきた。このままではエンターテイメント業界で生き残れないかもしれない。もう完全に場に呑まれていた。ダメだ。私はたまらなくなってゲームを買った。……ファミスタDSを。あ、野球ゲームね(笑)。これなら出来るかなぁと思って。
私は店を出て、奥さんにファミスタDSを自慢していると、あることに気づいた。ドラクエ買いにきたんじゃん! 店に引き返して、ドラクエを買った。ついでにメタルギアソリッド2も……。
奥さんの「何で余計なモノばっか買うのよ」という視線がひしひしと伝わってくる。奥さんの意見はごもっとも。しかもなんで「2」なんだって話だよ(笑)。これには理由がある。店内のゲームをくまなく見ているうちに、メタルギアソリッドというゲームが、「オレ、面白いぜ〜」熱をガンガン発していたのだ。しかもパート「4」まで出ているではないか。いきなり「4」をやっても難しいだろうし、「1」からやるのも面倒臭い。だから、間をとって「2」を買ったというわけだ。まあ、奥さんにとって、そんなことはどうでもいいのだろうが。何より、このブログを読んでいる人にとって、そんなことはどうでもいいのだろうが。
今日はこの辺で。残りあと一日。よろしくお願いします。
2009年7月12日(日曜日)
朝。久しぶりに8時間寝られた。なんて健康的な朝だろう!(笑)平均二時間睡眠だった脱稿前の生活が嘘のよう。
朝起きて、先日入稿した台本に目を通す。すると、ずっと引っかかっていた問題点が、台詞二行で解決できる案を閃いた。さっそく監督にメールをする。結局まだ客観的に読むことはできなかったが、面白い作品になる手応えは充分に感じられた。
昼。駅前の美容院で散髪する。私はすぐに髪が伸びる為、一ヶ月に一度行くのだが、今回はなんと十円ハゲになりそうな箇所が見つかった。担当の美容師さんが心配そうに教えてくれたのだが、私ははしゃぎまくっていた。「えっ、マジで?! どこどこ? ああ、ここかぁ。スゲー」といった具合に。どうやら仕事のストレスかもしれないという結論に達し、今度監督とプロデューサーに見せようと心に誓った(笑)。
夜。シナリオライターのAさんと飲みに行く。6時間以上飲んだが、まったく話が尽きない。本音で語り合える仲間なので、普段抱えている鬱屈した想いもここで吐き出してすっきりする。同業者の中でも私と同世代の作家はあまりいない。もっと知り合いたいんだけどなぁ。とにかく、Aさんとのお酒はいつもと同じように楽しい時間だった。
以上が今日一日の出来事。仕事をしていないと、本当にフツーの生活だなぁ(笑)。でも、こういう何気ない日常こそが、私にとって幸せなんだなぁと実感する。
この一週間、時間がないことをいいコトに、思いつくがままに書いた駄文を載せてしまい、本当に申し訳ありませんでした。推敲していたらきっと素晴らしい内容に……嘘です。たぶんさほど変わりないと思います(笑)。
ありがとうございました。