シナリオ講座      一般社団法人シナリオ作家協会


     
    藤岡美暢 (シナリオ作家・小説家)

  TVアニメ「魔法のプリンセス ミンキーモモ」で脚本家デビュー。

  <脚本作品>
  ■劇場映画
  「富江 re-birth」「富江 最終章」「大きな古時計」
  「ボディ・ジャック」ほか
  ■TVアニメ
  「京極夏彦 巷説百物語」「魍魎の匣」「黒塚」他
  <藤ダリオとしての作品>
  小説「出口なし」(角川書店)
  エッセイ「恐怖はこうして作られる」(中経文庫)
  児童ミステリー小説「あやかし探偵団」シリーズ(くもん出版)


                            


2009年8月17日(月曜日)

今週は新作のミステリー小説を執筆中です。400字詰め原稿用紙換算で400枚ほど。
ひたすらパソコンに向っているので、あまり書くことはない。

それにしても、蝉はアホだ。
夜、マンションの廊下に迷い込んで電燈にぶつかってうるさい。時には玄関ドアにガンガンぶつかって怖いくらいだ。

近くに大きな公園があるので、そこから飛んでくるのだが、毎晩、二、三匹は迷ってくる。そして、朝になると廊下で死んでいる。一度、捕まえて公園の方に放してやったのだが、すぐに廊下に戻ってきた。アホとしか言えない。でも、人間も同じかな……。

今週はよろしくお願いします。



2009年8月18日(火曜日)

まだまだ新作のミステリー小説を執筆中です。

実を言う原稿はすでに担当編集者に渡してある。ただ、読み直したら修正したくなったので、出版社がお盆休みの間に修正して、休み明けに渡そうと考えていた。しかし、訳あって終わらなかった。

その訳とは五年ぶりに現れた偏頭痛。頭痛くらいと思う人がいるかもしれないが、これが痛い。バットで後頭部を殴られたような痛さだ。市販の薬で痛みは治まるが、効果が切れるとまた痛み出す。そして、薬を飲む。その内、副作用で胃が痛み出すという悪循環だ。

五年前に偏頭痛になった時、大学病院で診てもらった。

「すごく痛いので、脳かもしれません」

私がそう言うと医者は笑顔で、

「脳に異常があったら、まともに話せませんよ」と言われた。

一応、CTスキャンも撮ったが、異常はなかった。偏頭痛も数日で消え、五年ほど現れなかった。

今回もそうなのだろうと高を括り、病院に行かなかったら、十日以上も痛みが続いている。仕方ないので、病院で診てもらったらやっぱり偏頭痛だった。

早くよくなってほしいものだ。



2009年8月19日(水曜日)

まだまだ新作のミステリー小説を執筆中です。

夏だし、少し怖い話を書きます。

たまに悪夢を見ます。ホラー作家の職業病です。中にはホラー映画のような大迫力の夢もあります。不気味なモンスターに追い駆けられたり、幽霊に拉致されそうになったりもしました。迫力満点の夢です。目覚めは悪いけど、無料でホラー映画を一本観たような、ホラー・アトラクションを体験したような得した気分になります。

これから書く話は夢で見た話です。友人に話したら、作っただろうと言われましたが、本当に夢で見たんです。

夢の中で、私は小学五年生です。放課後、友人と学校のグランドを歩いていたら、
「321の話、聞いたことある?」と友人が訊いてきます。
それは、小学校に伝わる怪談で私も知っています。
「放課後、学校で3、2、1と数えると女の幽霊が現れるんだよね。聞いたことあるよ」と私は言います。
少し歩くと私は教室に忘れ物をしたのに気付き、一人で取りに戻ります。
放課後の学校は誰もいなくて不気味です。
私は教室に戻って、忘れ物(多分、笛だったと思う)を取ると急いで廊下に出ます。早く学校から出ようと思うのですが、廊下の先に、見知らぬ女の人が立っています。私は怖くて、女のいる方とは反対方向に行きます。しかし、その先にも女の人がいます。どうしても怖くて、女の人の方には行けません。仕方なく、私は階段を上がります。しかし、二階の廊下の先にも女の人がいます。それで、どんどん階段を上がり最上階に行きます。不気味な女の人は私を追い駆けてきます。私は立ち入り禁止の部屋に逃げます。それは大時計の裏にある機械室でした。ここに隠れていれば大丈夫と思っていましたが、ドアのノブがゆっくりと回ります。もう逃げ場はないと思っていたのですが、小さなドアがありました。私はそのドアから外に出ます。そこは大時計の文字盤の前です。
私はふと時計を見ます。
「3時21分だ……」と言って、口を塞ぎます。3、2、1と言ってしまった。
次の瞬間、小さなドアが開き髪の長い女が「言ったわね」と私を襲ってきます。そこで目が覚めました。

ここまではっきり夢を見ました。

知人の編集者に、『こんな怖い夢を見た』というタイトルで怖い夢を集めた本を出したらどうだろうと提案したが、実現していない。

誰か、やらない?

では、また明日。



2009年8月20日(木曜日)


今日は午後から早稲田大学のオープンカレッジの講座。

時間が空くと学習院や早稲田のオープンカレッジに行っている。民俗学、江戸文化、妖怪など気軽に学べる。

春に出版した『あやかし探偵団』シリーズの題材になった庚申信仰や閻魔参りも講座で聞いた話がネタになっている。しかも、講師に来ていた民俗学の教授と仲良くなり、本の監修のようなことまでやってもらった。

今日の講座は『妖怪の世界』。

大人が妖怪の勉強に三十人くらい集まる。私もその一人だが。

今日のテーマは百鬼夜行絵巻の歴史と種類。知っていることも多かったが、まずまず面白かった。

昨年、TVアニメの『魍魎の匣』の脚本を書くのに、必要な参考文献を用意しようとしたら、ほとんど家にあった。

古本屋やネットで民俗学や妖怪に関する本を買い漁っていたら、いつの間にか資料が揃っていた。

『妖怪の世界』の講座は今日より次回(来週)が面白そうだ。妖怪と言うと江戸時代に流行があったのは有名だが、明治時代にも妖怪ブームがあったらしいのだ。次回は明治時代に流行した妖怪の話。妖怪が新聞記事になり、それを追う新聞記者もいたというのだ。どういう話が聞けるか、楽しみだ。



2009年8月21日(金曜日)

今日はなにもない。

明日、ワークショップに行くので準備をしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。

折角なので、ちょっと思ったことを書く。

脚本家とトラブルになるのは、なんと言ってもプロデューサーだろう。お金のことや作品のことで、ぶつかることも多々ある。憎らしいと思うこともあるが、プロデューサーがいなければ仕事にならない。長い付き合いのプロデューサーもいるので、飲む機会もある。プロデューサーと飲んで話をすると、彼らの映画に対する愛情をすごく感じる。勿論、人によって違うのだろうが、私の身近にいるプロデューサーは映画に相当の愛情を持っている。それでも映画プロデューサーはあまり取り上げられない。ライターから見ると嫌われ役になることも多い。映画は監督や俳優が注目され、脚本家もそれなりに注目される。「この映画は脚本を○○さんが書いているから、面白いんだ」と言う人もいる。そう考えるとプロデューサーは究極の裏方なのかもしれない。そう考えると、映画を愛しているのは監督やライターより、プロデューサーなのかもしれない。勿論、そういうプロデューサーがすべてではないが。



2009年8月22日(土曜日)


今日は俳優事務所のワークショップに行ってきた。
普通は演技指導をするのだが、演技に関しては専門ではないので、3時間30分を講義とディスカッションした。
俳優は脚本を読めなければならない。
脚本家がどのようにして人物像を作り、どのように脚本を書くのかを話した。
あとは映画の作り、映画の見方なども話した。
普段は聞けない脚本についての話に、俳優たちは目を輝かせて聞いてくれた。
若手の俳優が多く、中には脇でよくテレビの連ドラなどに出演している俳優もいた。
少しでも刺激になってくれると嬉しい。
私は若いパワーをもらい、とても刺激になった。
みんな、ありがとう。



2009年8月23日(日曜日)

今日は一日執筆中。明日には書きあがって、担当者に渡せそうだ。
偏頭痛はまだ完治していない。

最終日なので、友人の話を書く。
幼馴染みの友人がいる。親友と言える友人だ。
と言っても実家に帰ることが少ないので、彼とは七年くらい会っていない。
時々、どうしているか気になるが、電話するのも照れくさいのでそのままだ。
彼は勉強はできないが、頭がいい。自分の考えを持って生きている。若い頃、バイクのレースに出ていたせいか度胸もある。大きなチャンスがあったら、彼は日本を代表するレーサーになっていたかもしれない。彼の先輩がレースで大きな事故を起こして、彼はレースへの興味をなくしてしまったようだ。今は大工をしている。あいつには勝てない。そう思わせる存在だ。
以前、実家に帰った時、近所に壁が黒く煤けた家があった。火事になったのだろう。
「あそこの家、火事になったんだね」と母に聞くと、その火事を見つけたのがその友人だと知らされた。深夜、飲んで帰宅しようとした彼はその家から煙が上がっているのを見つけ、窓を壊して家に入り、住んでいた老夫婦を助けたと言うのだ。
やっぱり、あいつには勝てない。
私はコッポラ監督の映画『アウトサイダー』を思い出した。
勿論、友人は健在だ。今度、帰郷したら会いに行こうかな……。


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